フランス人って、自由で個性的なイメージ。
小さな頃から日本とはやはり考え方とか違うのかな?
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
フランス社会と関わって生きていると、
この人たちとは根本が違うかも…
と思うシーンがたくさんあります。
子どもたちを見ても、すでに小さいながら「これぞフランス人!」と思ってしまうことがよくあるんですよ。
小学校での過ごし方も、もちろん、日本とは大きく異なります。
この記事では、
フランスの小学校生活
にフォーカスしてみたいと思います。
現地の小学校で子どもたちがどんなふうに過ごしているのか、ご一緒にのぞいてみませんか?
これからフランス駐在!とか、これから子どもが学齢期というご家庭の参考なりましたらと思います。
目次
フランスの小学校の1日
ごくありふれた1日を観察しても、そこは日本とは別世界。
個性あふれる子どもたちのミニワールドが展開します。
1日はけっこう長い
平日の授業は:
午前8時40分から午後4時(水曜午前の授業がある学校)
午前8時30分から午後4時30分(水曜休みの学校)
公立校と私立校では登下校の時間が違ったり、水曜が休みというところがあり、ややこしいです。
私立の場合、学校によっては水曜日は終日休みですが、公立小学校は午前中だけ授業があります。
(前大統領のオランド氏が当選するまでは、水曜日は休みの日でした)
この時間帯、幼稚園も同様なんですね。
小さい子どもたちには、けっこう長時間なので疲れるようです。
小学校までは保護者の送迎が必要なので、午後6時までは校内で預かってもらうシステムもあります(有料)。
ちゃんと監督係がついて、宿題などをする自習の時間です。
昼休みが長い
大人の会社員なども同様ですが、昼休みがとっても長いんですよ…。
小学校は午前11時半から午後1時半までが昼休み。
家に戻って昼食を食べる子もけっこう多いですね。
この場合、朝の送り、昼の迎えと送り、夕方の迎えで合計4往復なので、親は大変ですよ。
校内に残る子どもたちは、食堂で昼食を食べた後は自由に遊びます。
授業の内容
小学校では、まず国語であるフランス語が最優先のようですね。
そして算数。
この二つに多くの授業時間がさかれます。
また、学校によっては英語教育に力を入れていて、週5時間英語という場合もあります。
図画工作や音楽もあることはありますが、教室でやれる範囲のもの。
音楽室や図工室などがあるわけではなく、楽器もありませんね。
担任の先生の自由裁量に任されている部分もあるようです。
音楽に造詣の深い先生が担任だと、音楽家と一緒にCDを制作したり、コンサートを開いたりすることも…。
美術が好きな先生が担任になると、美術館のワークショップに参加するなどの校外活動もあります。
社会・理科は高学年(日本の4・5年生あたり)で、履修科目に登場します。
スポーツや芸術分野(音楽・ダンス・美術)は、「習い事」として放課後や週末に専門の学校や教室に通うのが一般的です。
おやつ持ち込みOK
もしかしたら、学校によってはNGなのかもしれませんが…。
おやつを持ち込んで、休み時間に食べてもいいんです。
歯磨き指導までしてくれる日本の常識からしたら、ビックリですよね。
なかには、ポテトチップスの大袋を持ってきてみんなに配ってくれる子もいるらしいです。
誕生会を開いてくれる
幼稚園はもちろんですが、小学校も低学年までは教室で誕生会をしてくれます。
先生に事前に申し込み、当日はクラス全体に配れる量のケーキやボンボン(グミやキャラメルなど)、ジュース、紙コップ&紙皿などを持参。
全員がやるわけではないようですが、子どもたちはこの年に一度の「自分の誕生日」をそれはそれは楽しみにしています。
ほとんどの家庭で、ケーキは手作り。
紙コップや紙皿は子供の好きなアニメキャラなどを揃えてくるお宅もあります。
おもちゃ持ち込みOK
街中にある学校は、校庭といってもコンクリート。
さほど広くないスペースしかない場合も。
日本の小学校にあるような鉄棒やブランコなどの遊具はありません。
せいぜいボールの貸し出し程度なんですね。
そのためか、子どもたちはそれぞれ小さなおもちゃを持ってきます。
ポケモンカード、ルービックキューブ、トランプなどの定番や、流行りのキャラクターもののおもちゃなど。
「おもちゃ」の流行り廃れが激しく、ハンドスピナーなどは一気に盛り上がってみんなが買いあさりましたが、数週間でピタッとブーム終了。
「買って〜、買って〜」にはずいぶん悩まされました…。
服装は自由
普段の服装はもちろん自由です。
スポーツの授業もありますが、服装は自由。
全員お揃いの体操着を購入するなんてことはありません。
そもそも「全員お揃いの品を特定の業者から購入」ということが全くないんです。
高学年になっていくと、女子はかなりオシャレを意識する子も登場。
アクセサリーをジャラジャラつけて、マニキュアも派手につけてる子もいます。
さすがにメイクアップはまだですね。
(中学生になるとアイラインやマスカラをつけてる子が増えてきます)
必須クラブ、部活動、委員会などはない
学校は勉強するところという位置付けで、「自治運営」を学ぶ場は小学校にはほとんどありません。
クラス内での係はいろいろあるようですが、委員会や児童会はなし。
必須クラブや通学班もないです。
なので、縦横の子ども同士の繋がりを作る活動がないですね。
クラブ活動や、委員会などでの思い出って、大人になってもなつかしいもの。
フランスではその思い出が作れないのはちょっと残念かも。
集団検診・身体測定がない
現在も日本では、身体測定や歯科検診などは相変わらず行われているようですね。(さすがにBCGやインフルエンザ予防接種の学校での集団接種は行われていないようですが…)
フランスでは、幼稚園の年長の時に一度だけ学校で簡単な集団検診がありました。
でも、それだけ。
身体測定、歯科検診、視力検査、予防接種、これらすべて100%保護者の責任となります。
保健室がない
フランスの学校に子どもが通うようになって、かなり驚いたことの一つが「保健室がない!」という事実。
具合の悪い子供は、保護者が迎えにくるまで教室の隅の簡易ベッドに寝かされていると聞きました。
怪我をした場合、軽傷なら担任の先生が絆創膏を貼ってくれます。
ちょっと具合が悪くなった時に、頼れる保健室の先生がいない…。
考えただけで心細くなってしまいますよね。
フランスの小学校でよくある行事
だいぶ日本とは事情の違うフランスの小学校ですが、それなりに行事はいろいろあるんですよ。
ここからは、「よく行われている行事」についてご紹介していきますね!
年数回の校外学習と文化活動
担任の先生次第…という部分でもあるのですが、年に何回かは校外学習が行われています。
< 校外学習と文化活動の例 >
美術館を訪れて、館内を見てまわったあと、美術館スタッフと共にワークショップ。作品制作。
博物館を見学し、スタッフと共に「石器時代の勉強」。
学校付近の歴史的建造物を見学。
音楽家とコラボしてCD制作。
バスで移動しチーズ工場を見学。
これらの活動には、保護者ボランティアが参加します。
宿泊学習
小学校4年生くらいから、2〜3泊程度で旅行。
日本でいう宿泊学習よりも、修学旅行に近いと思います。
4〜5時間のバス移動で、かなり遠くの地方まで行くことも。
フランスらしいなと思ったのは、小型ヨット教室があったり、リバーボート貸切の旅だったり。
集合は朝めちゃくちゃ早くて(5時半とか)、弁当持参です。
そのへんは日本と似ていますよね。
また、どうやって選ばれるのか不明ですが、保護者が数名同行しますね。
カルナバル
謝肉祭(カーニバル)のことです。
カソリック系住民が多いからか、各学校ともカルナバルは盛り上がるようです。
キリスト教の四旬節に入る直前の火曜日をマルディグラ(マルディ=火曜日、グラ=脂)と呼び、その時のお祭りがカルナバルです。
街をあげてのお祭りが行われるところもありますが、学校に通う子供はもっぱら「仮装」と「おやつタイム」でもりあがります。
毎年、子どもたちは趣向を凝らした仮装をし、学校でクレープなどのおやつを食べるんですね。
さらっと言っていますが、子どもが小さいうちは「一大イベント」のひとつかも。
親も頭をひねって衣装を作ったり、おもちゃ屋さんやパーティーグッズ屋をまわって本格的な仮装をさせます。
女の子の定番は「プリンセス」。
男の子は「アニメヒーロー」。
その日は保護者も校庭に入って見学することもできます(学校と学年による)。
ケルメス
日本語にすると、文化祭とか学芸会に相当するのがケルメス。
でも、日本のイベントのように、「準備にも時間と労力をかけ、当日のエネルギーも膨大」ではありません。
すべてにおいて、ゆるくアバウト。
学年末に行われるケルメス。
クラスごとに出し物(ダンス)を披露します。
保護者ボランティアによる模擬店も出るので、子どもたちにとっては1年で一番楽しいイベントだと言えます。
このケルメスのあと学校に通うのは数日。
そして長い2ヶ月のグランバカンス(夏休み)になるので、みんな緩みっぱなしで盛り上がります。
でも、毎回先生から衣装の指示が出るのが遅め。
保護者は急に「オレンジ色のシャツと白いスカート」といったリクエストに応えるため奔走するんです。
みんな一気に買うので売り切れ続出で結構大変!
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フランスの小学校の先生は個性的な人が多い
とにかく自分のオリジナリティを大切にするフランス人。
学校の先生だって、けっして自分を枠にはめたりなんかしません。
先生は「教科を教える」のが仕事
日本の小学校の先生って、ほんとうにいろんな仕事をしますよね。
学習指導、生活指導、衛生指導、食育。
登下校の交通指導までしてくれちゃいます。
職員室に戻れば、学校ヒエラルキーの「職員」。
フランスの先生は、「教科を教える」のが基本。
もちろん小学校の先生は、国語・算数のほかに、図画工作も指導するし、校外学習の引率もします。
でも、日本の先生のようにマルチタスキングではないんですね。
それぞれ強みが違う先生たち
人によって、音楽に造詣の深い先生や、美術分野に強い先生などがいます。
スポーツが得意な先生は自らプール授業の指導をしたり。
音楽好きな先生が担任になると、クラスでオペラ観劇に出かけたり、コンサートに参加したりすることも。
歴史に詳しい先生が、市内の歴史的建造物ツアーをしてくれることもあるようです。
ファッションにも手を抜かない先生も
先生がた、ほとんどがみなさん、ファッションに関してはコンサバでシックな装いの人が多いかもしれません。
極端なファッションの先生は見かけたことがないですが、メイクはしっかりが基本。
靴も、ハイヒール。冬はブーツが主流。
ジャージに運動靴という日本の小学校の先生スタイルの人は皆無かも。
ワークライフバランスは、きっちり
朝は始業ちょっと前に学校に到着し、授業が終わって教室の整頓をしてすぐに退勤、がフランスの先生スタイル。
昼休みは子供と同様、11時半から13時半まで2時間しっかりとっているようですね。
学校の近所のカフェで同僚とランチを楽しむ先生を見かけることも。
教室で子どもと給食を食べ、清掃指導をし、放課後もクラブ活動の指導をしたり、遅くまで職員室で働いている日本の先生って、すごいかも。
また、バカンス好きのフランス人ですから、学校の先生も休暇中はしっかり「休暇」です。
夏休み2ヶ月、ばっちりとれるようですよ。
▼ 「どれだけ休んじゃうの?」というくらい休みが長いフランスの小学校。バカンスだけじゃないフランスならではの「小学校の常識」や、学校内の様子などを詳しくレポートした記事はこちらをご覧ください!
まとめ
自由と個性を愛するフランス人は、小さい頃からの教育で作られる…。
フランスの小学校生活の様子、だいぶ日本とは違いますよね。
それでも実は、みんなが平等に学習機会を持つべき、という国の方針があるらしく、公立の小学校では宿題は最小限しか出ないとか。
保護者が宿題をみてあげる余裕のない家庭の子にとって不公平になるからだそうです。(いっぽうで、私立校は低学年からじゃんじゃん宿題が出されるし、英語教育にも熱心。)
こうしてあらためて違いを洗い出してみると、フランスの小学校教育には「みんな違って当然」という意識が根底にやっぱりあるのかな、と感じますね。
フランス式の小学校生活の利点は、子どもたちがのびのびしていること。
日本の学校も、きっちり管理していただけるのがありがたいですが、もうすこしゆるくてもいいのかもしれませんよね。