将来は、海外移住したいと願っているみなさんへ。
留学、転勤、結婚など、いろいろな理由で海外での暮らしを希望されていることでしょう。現在、海外に住む日本人は約140万人で(参照:外務省「海外在留邦人数調査統計(令和元年版)」)、年々増加の一途をたどっているそうです。
ところが現実には、海外に住んでいる日本人の多くが、いつか日本に帰りたいと思っていたりするんです。
せっかく海外に移住したのになぜなんでしょうか?
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
今回は、海外移住した日本人が、なぜ将来の帰国を望むのか、海外生活18年目の筆者がこれまで見たり聞いたりしてきた実際のお話からご紹介したいと思います。
目次
海外移住者。そもそも日本人はなぜ海外へ移住する?
近年になって、きちんと準備さえすれば、「海外移住」は誰にでも可能な身近な存在になってきましたよね。
インターネットの普及で、場所を選ばず仕事をする事が可能になったということもあるし、海外との行き来が日常のことになったから、という理由もあるでしょう。
そもそも、21世紀の日本人はなぜ海外に移住するんでしょうか。
外国暮らしへの憧れ
これまで出会った海外暮らしの女性から多く聞かれたのがこれです。
「子供の頃から外国に住みたかった」
「童話に出てくるような風景の中に住みたかった」
絵本や映画、テレビなどで外国の風景や文化を知って、憧れ続けていたというパターン。
仕事
会社に命じられた海外転勤。住み始めたら、その国を家族が気に入ってしまって、そのまま移住してしまう人たち。カナダではこのパターンの家族、けっこういらっしゃいました。
また、海外で自分のキャリアを伸ばしたくて海外就職する人たちや、音楽や料理など、海外で才能を伸ばしたくて移住したという人たちもいます。
留学
語学留学、大学留学をはじめ、各方面の研修などのために海外に渡り、そのまま現地で暮らし始めた人も多いです。
現地の大学院や研究機関で、何年も勉強し続ける学生さんもいます。
現地で就職して暮らす人もいますし、もちろん留学先で恋をして結婚した移住組もいますね。
国際結婚
外国人と結婚して、相手の国や第三国に住む日本人も多いですよね。
日本国内で出会うカップルもあれば、留学先や仕事の赴任先で出会うカップルもありますが、二人がずっと一緒に暮らしたいと思う時、やはり選択肢として結婚を選ぶことになるケースが多いのでは。
筆者の周りで意外に多いのは、旅行先で出会った人との国際結婚。ドラマや映画の中の話かと思いきや、けっこういるんですよ!
日本が合わない、嫌になった
日本が合わないと感じて海外移住を選ぶのは、一度海外生活を経験した人に多いかもしれないパターンです。
筆者の世代では、まだまだ学校教育は「出る杭は打たれる」「みんなと同じにしなくてはいけない」という感じだったので、ちょっと海外に住んだ後は、とても日本が窮屈に感じました。
殺人的な通勤電車や、長い就労時間にもうんざり、ということで「海外に行こう!」と思う人、結構いるんじゃないでしょうか。
海外移住者が日本に帰る理由(日本が恋しい)
海外移住って、かなり面倒です。なかでもビザの問題は本当に深刻。個人として移住する場合、特別な理由がない限り、永住ビザの取得はとっても難しいものです。
その難しいプロセスをクリアして移住しながら、やっぱり何年かのちに日本に帰る人もいます。筆者自身、20代でカナダの永住ビザを取得して移住しましたが、結局、日本に戻りましたね。
ここからは、海外移住者が日本に「本帰国(=海外の居住地を離れて、日本に住むために帰国すること)」する理由をあげていきたいと思います。
日本の良さに改めて気づいたから
カナダから日本に戻った筆者の理由は、これでした。
移民として暮らすって、単身者にはけっこう厳しかったりするんですよ。(もう随分前なので、ネットもないし、リモートワークなんて概念もなけりゃ、ノマドワーカーなんていう言葉自体ありませんでした。笑)
自分の国で、周囲に守られながら暮らしていく心地よさって、いったん外国に出てみないとわかりませんでした。
日本でなら「英語が話せる人」として優遇されても、カナダでは「英語が完璧じゃないアジア人」ですからね。仕事だって、なかなか思い通りのものは見つからなかったりね。
日本への郷愁を強く感じるから
外国に暮らしていると、日本の四季が懐かしくなります。
冬が過ぎて、春めいてきて、満開の桜の下でお花見。ゴールデンウィーク頃から、キラキラ夏の日差しになり、梅雨はじめじめ。カーッと暑い夏がやってきて、花火にスイカ、海水浴、お盆。
という具合に、離れていると遠いふるさとがとっても懐かしいんですね。
各地の日本人会が「新年会」だとか「夏祭り」だとか「盆踊り大会」などを盛んに催すのも、こんな郷愁をなぐさめるためなのかなあと感じます。
これが抑えきれなくなると、『男はつらいよ』の寅さんのごとく故郷に帰りたくなってしまうんですね。
慣れた文化が心地よいから
海外に暮らすって、大なり小なり緊張が続くってことじゃないでしょうか。
「日本に帰省した時に、なにがいいって、頑張らなくてもなんでも理解出来ちゃうのが最高」と言っていた人がいました。地下鉄の中吊り広告、テレビ、街のアナウンス。全部、日本語なのでナチュラルに理解出来ちゃう。
子供の頃から慣れた文化なので無理して頑張る必要がない、という点では日本は本当にラク。
日本はやっぱり便利だから
日本国籍を保持して、日本のパスポートがある限り、日本人にとって最も生活が簡単なのは日本、じゃないでしょうか。
そして、日本はとっても便利。足りないものはちょっとコンビニへ。お金だって下ろせちゃう。ネットで買い物、届けて欲しい時間に宅配される。空港からだって宅配便があるから、ほぼ手ぶらで帰れちゃう。
日曜日に買い物が楽しめる!しかも夜まで。
とにかく便利ですよ、やっぱり。
海外移住者が日本に帰る理由(海外がつらい)
上のコラムでは、「日本がやっぱりいいから、帰ろう」という理由でした。
次に、海外がつらいので帰りたいというパターンです。
海外生活はきびしい
外国に暮らす限り、日本人はどこまでいっても外国人です。アウェーなんです。
なかには、現地に150%溶け込んで、「日本?忘れた〜」というツワモノもいるかもしれません。
でも、人種差別を経験する日本人だって多いのが現実。仕事だって、あまり選べない環境にいる人も多いんですよね。
海外生活は不便
慣れの問題なのかもしれませんが、海外生活は多くの場合で日本人にとって不便です。
サービスでも商品でも、お金さえ払えば簡単に手に入れることができる日本。コンビニ、宅配といった「かゆいところに手の届くサービス」が、あって当たり前の暮らしができます。
また、治安もよく、レストランでも銀行でも商店でも、丁寧なサービスが受けられるのが普通ですよね。
外国で同様のことを求めようとしてしまうと、海外生活は不便なことばかりなんです。
言葉の壁
生まれながらのバイリンガルや、若い時から長年現地語で暮らしてきた、という人でなければ、海外生活ではやはり言葉の壁を感じてしまいがち。
せっかく海外に飛び出したのはいいけれど、なかなかネイディブ並みには上達しない言葉はストレスになります。
永住権を自ら取得して移住したというケースは、言葉の壁を感じることは少ないでしょうが、家族の都合での移住(転勤や結婚)の場合、言葉の壁がネックになって帰国を決める人もいるようですよ。
食生活の壁
「え?たかが食べ物でしょ?」と思われるかもしれません。
でも、年齢とともに食事の嗜好は変わるんですよね。
若い時は、肉や脂っこい食事が大好きだった洋食派の人が、40代を過ぎると「やっぱり和食だよね」に変わるなんてことはよくあります。
ヨーロッパに住みながら「やっぱり白ご飯に漬物がいちばんしっくりくるようになった」という日本人、多いですよ。
文化的な違和感
海外生活も最初は、「面白い」と感じることが多いんです。
でも、長年暮らしていると、「なんかこの文化、自分にはしっくりこない」と思うことも度々出てきます。
文化的な違和感を感じるのは、歴史的背景もあるでしょうし、宗教的な背景もあるでしょう。「この国で一生暮らすのは無理かも」と、帰国を決める人もいます。
海外移住者が日本に帰る理由(その他の事情)
必ずしも自分の意思だけで、海外から日本に戻る場合だけじゃありません。次のような、本帰国選択のケースも、実はたくさんあると思われます。
実家の問題
「海外に住もう!」と決めて日本を後にした時は、いつかくる両親の老後の問題は遠い話だったかもしれません。
でも、元気なはずの両親もいつまでも若いわけではなく、必ず歳をとります。
親が一人暮らしになった時、介護が必要になった時、海外から日本は本当に遠いです。海外遠距離介護で頑張っている方もいらっしゃいますが、日本に本帰国を決める方もいるようです。
配偶者の問題
日本人同士のカップルの場合、配偶者の日本での再就職を機に本帰国される場合もあります。
また、実際に多いと思われるのが、国際結婚が破綻した時の本帰国。残念ながら離婚してしまう国際結婚カップルはかなりの数ですよね。
離婚ではなく死別の場合も、残された日本人配偶者は日本への帰国を希望するケースが多いです。
まとめ
海外がグンと身近ななり、仕事だってボーダレスでできる時代。それでも外国は外国。住んでみると日本の良さがよく見えるのです。
今回は、一度は外国暮らしを決意して海外移住して日本人が、日本に戻る理由について考えてみました。
これから海外移住を目指すかたの参考になればうれしいです。