こんにちは、まのんです。
イギリスで英語を学ぶため、語学学校に通い始めた頃のことです。言葉に慣れるまで、最初の半年間は一般家庭にホームステイをしていました。
リタイアした元パブ経営者で料理上手の老夫婦に、微妙なお年頃の孫息子一人、ドイツ人留学生二人+日本人一人(自分)という環境。
陽気で冗談好きのおじいさん、「忙しい、痩せたい」が口癖だけれども世話好きなおばあさん。そして、ちょいワル盛りのイケメン高校生(孫)にびっくりするほど紳士的なドイツ人男子たち。
何が何でも英語で会話をしなくてはいけないので、ものすごい勢いで英語を吸収でき、とても勉強になりました。
最初の「イギリスだーー!うれしい♪」のウキウキ期間が過ぎた頃、気になり始めたことがありました。
イギリスで男性が皿洗いする理由
お料理をするのは、もっぱらランドレディであるおばあさん。(と、いってもまだまだ元気でハツラツとしていて、「おばあさん」ではなく「おばさん」と呼ぶのが正しい感じの奥様でした)
そして食後の片づけは、おじいさん+孫。学生もちょこっとお手伝いします。
「皿洗いは男子の仕事!」と言い切るおじいさん曰く、「皿を洗うと手が荒れるだろ。自分の奥さんにいつまでも美しくやわらかい手でいて欲しいから、皿洗いは自分がするんだよ」とのこと。
なるほど、さすが英国!と感じ入りました。。。
日本では、まだまだ男性中心の社会で、「男子厨房に入るべからず」の時代。イクメンだとか、料理男子なんていう言葉は遥か先の未来のことのようでした。
25歳になると女性は「クリスマスケーキ」などと言われて、売れ残りのレッテルを貼られるような時代でしたよ(わずか30年ほど前なんですが、ずいぶん変わりましたよねー!)。
見てびっくりのイギリスの皿洗い
環境に慣れてみて気づいたことがありました。
ときどき、お皿が「生臭い」。
梅雨時の、どろっとした沼のような臭いといったらわかるかな?
(ちなみに、筆者、異常に嗅覚が発達しているらしく、臭いにはとても過敏なのですよ。。)
ホームステイ到着最初の頃は、お皿をキッチンに下げるだけだったので気付かなかったのですが、慣れてからは洗ったお皿を拭く手伝いをすることもありました。
そして、その時に知った衝撃的な皿洗い法。。。
キッチンのシンクは1つしかなく(日本では普通1つですが、欧米ではダブルシンクのキッチンも多い)、そこで展開される皿洗いとは次のようなものでした。
1)シンクに食器洗い用洗剤をひとたらし。
2)シンクを(熱くない)お湯で満たす。泡が立ちます。
3)使った食器を全部シンクに入れる。
4)ブラシを使って、食器の汚れを落とし、洗剤水に一度くぐらせる。
5)洗剤水から食器を取り上げ、余分な泡と水分を振り落とす。
6)「ふきん」で泡付き水分をふきとる。
7)もちろん「ふきん」は1枚を全ての工程使い回す。
8)「ふきん」は手を拭くときも同じものを使う。
9)同じ「ふきん」は、また乾かして使う。
以上!
どうです、衝撃的でしょ? スリリングでしょ?
洗剤、洗い流さないんですよ。拭き取っちゃうんですよ!
おまけに、それを拭き取る「ふきん」は手も拭くし、洗濯とかせずに何日か使っちゃうんですよ。。。
どうりでお皿が生臭かったりするんだと思いました。
が、それだけじゃなかったんです!
チンチラペルシャという、とっても気まぐれでプライドの高い愛猫がいたホームステイ先。
白身魚を茹でて食べさせていました。
なんと! その猫様のお皿も一緒に、人間の食器と一緒に洗っていたんですね〜〜。。もちろん洗剤水すすがずに拭き取るだけシステムで。。。
だからお皿が生臭いんです。
その衝撃の事実を知ってから、自分を環境に慣らすまで何度か腹痛になり、気持ちが悪くなりを繰り返し、げっそりダイエットできた頃、自分の胃腸もイングリッシュシステムに慣れたようです(苦笑)。
人間、環境に慣れることができるもんですね。。。 あの皿洗い法の食器ではもう食べたくない!と思います。
でも、おそらくイギリス旅行のたび、各地で洗剤水付き食器で食事してるんでしょうねえ。。。知らぬが仏、ですね。
びっくり皿洗いの理由を探ると…
日本人からしたら、ぎょっとするような皿洗いの仕方ではないでしょうか。
なぜ洗剤を洗い流さないか?
「それでいい」と信じ込んでいるホストファミリーに対して、「不潔じゃないですか?」とは絶対に言えなかった当時。相手の文化をけなさずに、上手にやんわりと言うなんて、当時の英語力では無理でした。
いまでも多分、言えません。(こちらの人たちの洗い方と「お皿拭き&手拭き&レタスの水分取り共用ふきん」の長期間使用について、ぞっとしながらもやっぱり今も一言も言えない。。。)
空気が乾燥しているから、カビや雑菌がそれほど繁殖しないのか? いろいろ考えましたが、結局のところ「郷に入っては郷に従え」で、見て見ぬ振りを続けました。
でも、洗剤を流さない皿洗いの強烈なイメージはずっと頭から離れませんでした。
そして何年かたったある時、謎が解けました。
(続きます)