留学生や長期滞在者の多くを悩ませ続ける、イギリスのお風呂。
かの国に学生生活を送ったり、貧乏旅行をしたことのある人なら、「ああ、あれね。大変だったなあ」と思うことでしょう。
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
いつかは旅行したいとか、住んでみたいなど、憧れを抱く人も多いイギリス。
息をのむほどの美しい景色や、今も息づく歴史的建造物や文化遺産。ロックやポップスなどの音楽の最先端発信地でもありますよね。
そんな素敵なイギリスに、日本人が住みはじめて最初にぶつかる問題のひとつが、お風呂の問題ではないでしょうか。
この記事では「【イギリスお風呂事情】日本人がイギリスで苦労するのは「入浴」です!」に続いて、日本人を悩ませるイギリスのお風呂の問題についてご紹介していきます。今回は、イギリスのお風呂のしくみと現地人の使い方についてのお話です。
目次
イギリスのお風呂とは?
まずは、イギリスによくあるタイプの浴室とはどんなものなのでしょうか。
イギリスの典型的な浴室
ごく普通の住宅や、庶民的な民宿B&B(ベッドアンドブレックファースト)で見られるのは、トイレとお風呂が一緒の部屋に設置されたタイプではないでしょうか。
日本のアパートやビジネスホテルなどにある「ユニットバス」と中身は同じです。
ただ、イギリスの浴室と、日本のユニットバスには大きな違いがひとつ。
それは、浴室自体に防水の仕様がなされていないことです。仮にバスタブからお湯が溢れ出してしまうと、床が濡れ、場合によっては階下に水漏れが起きます。
絶対にお湯が漏れることがないという前提なのか、床にはご丁寧にカーペットが敷かれていたりします。
バスタブのみの浴室(シャワー無し)
普通の小部屋にいきなりバスタブだけ鎮座している、という浴室もあります。
カーペット敷きの床に、バスタブ。もちろんシャワーカーテンなどもないのが普通。
このタイプの浴室に当たってしまうと、かなり不便です。シャンプー時にはかなりの工夫が必要でしょう(特に寒い時期)。
バスタブ+シャワーのある浴室
小部屋にバスタブが置かれ、シャワーもついている場合。いくつかのパターンがあります。
1)バスタブには、ガラスやアクリルの仕切板がついていて、そこでシャワーの水がバスタブの外にはねないようにできる。
(ただし、仕切板の幅が短くて、けっきょく水はバスタブの外にはねることが多い)
2)シャワーカーテン付き
3)さえぎるものは何もなし。シャワーを立って浴びると、バスタブの外は水浸しになってしまう。座ってシャワーを浴びても、バスタブの外に水がはねないようにするには、かなりの技術が必要。
蛇口が微妙
イギリスの浴室、蛇口も一言で言えば「微妙」です。
「おしゃれ」と言えば、おしゃれなのかもしれませんが、往々にしてイギリスのバスタブや洗面所の蛇口は水とお湯が別々。お湯の蛇口からは超熱いお湯が出ます。かなり使いづらいです。
(⬆︎お湯と水の蛇口が別々のタイプ。これは洗面所ですが、浴槽の蛇口も、こんな感じで水とお湯の出口が別のものがイギリスではまだ多いです。)
最近の主流である混合水栓の蛇口、B&Bや地方のホテルでは見かけません。(混合水栓 ⇨お湯と水を温度設定して混ぜて一つの蛇口から出す水栓です)
ちょっとおしゃれなリゾートホテルだと、蛇口は一つだけれど、レバーはお湯と水が別々というものもあります。
イギリスの浴室、イギリス人はこう使う
いかにも使いづらそうなイギリスの浴室。では、現地の方々は、どのようにこの不便な浴室にたえているのでしょうか。
シャワーのない、バスタブのみの浴室
浴室にバスタブのみ、つくねーんと置いてある場合、どうやって洗ったら良いのか?シャワーがなくて、水栓もお湯と水がそれぞれ別々の蛇口から出るタイプ。救いようがない。。。
最初は戸惑いました。そもそも、イギリス人はこの浴室でどのように頭を洗い、体を洗っているのか謎でしたね。
いろいろ聞いたところ、一般に、次のような入浴法らしいです。
① まず、「熱いお湯」(本当はちっとも熱くなく、36度くらい?)をバスタブにはる。(ただし、バスタブ自体が浅い上に、水があふれるのを防止するための排水口が底から30センチくらいのところについているため、最大水深30cm程度にしかお湯をはれません。)
② 次に、バスミルクとかモイスチャーバスとか、そんなふうな名前のついたソープを湯船にいれてかき混ぜる。
③ 裸になっていきなりそのソープ入り湯船に入り、なかで体、顔、頭も洗う。頭についてはシャンプーを使用するのもお好み次第。
④ その後、ついっと立ち上がり、用意してあったバスタオルで体のソープ湯を拭い、入浴は終了。
日本人としては、これでキレイになったのか、そうでもないのか、微妙ですよね。
ソープを使って洗った後、そのソープ湯からの「上がり湯」とか「ソープ湯を洗い流す作業」とかなしに、ソープごと拭いて終わり、ってのがどうも。。。
シャワーのある浴室
まあ、普通にシャワーを浴びるんでしょうが、イギリス人に限らず欧州の人は全般にシャワーの温度が低めなようです。
36度とか37度くらいでしょうか。
そして、体をぬらしたらソープを手で体に塗りつけて、あとは洗い流して終わり。シャンプーも、男性なら「頭も顔も体も洗えるシャワージェル」みたいなものを使っている人も多いようです。
だから、全般に使う「お湯」の量は日本人よりかなり少なめだと思います。
ちなみに、我ら日本人が「熱いシャワー」を浴びた後は浴室は湯気でモウモウとしていますが、欧州人の「ぬる湯シャワー」はそうでもない。3度〜5度ほどの湯温の差で、出る湯気の量もすごく違うんですね。
換気の設備がイマイチのイギリスの小さなホテルなどでは、この違いがとても顕著。筆者が「あっつーーーいシャワー」を浴びると浴室中湯気と湿気で大変。一方、夫が「ぬる湯シャワー」を浴びた後は、まあそれなりの湿気程度で済みます。
そもそもヨーロッパ人の入浴とは?
いくつかのヨーロッパの国を旅したり、現地の方のお宅などで浴室をつかわせていただいたりしました。イギリスほど不便な浴室でないにしても、日本のように「毎日、熱いお湯を張って湯船に浸かる」文化にはお目にかかったことがありません。
「浴室は、最低限の清潔を保てればそれでよし」といった感じにみえます。
ヨーロッパのおおまかな入浴事情
他のヨーロッパ諸国の入浴事情はというと、シャワー中心のようです。バスタブにお湯を張って入浴するのは、衛生のためというより、リラックス目的。小さな子供は、バスタブにぬる湯を張って中で洗います。
お風呂好きと言われる日本人でさえ、一般家庭でお風呂を沸かし毎日入浴するようになったのは戦後(それも高度成長期以降)だそうですね。
ヨーロッパでは、毎日入浴したりシャワーを浴びたりするという習慣自体、新しいようです。今では、若い世代は毎日シャワーを浴びますが、高齢世代だと1週間に数回シャワーや入浴という人がほとんどではないでしょうか。
バスタブは浅くても大丈夫
欧米式のバスタブは、横長浅型タイプが主流です。
バスタブの上部に水溢れ防止の排水口が付いているので、お湯はせいぜい40センチほどの高さまでしか張れません。
肩まで浸かる日本式の入浴をしようと思うと、仰向けに寝た姿勢で入ることになります(首から上を出して)。
日本人には不便なのですが、熱いお湯に肩まで浸かる習慣のない欧米の人には、水深の浅いバスタブでOKなんですね。「ぬる湯で寝湯」です。
バスタブで洗いと入浴が完結する
浴槽のお湯は、一人が入るためのもの。日本のように、何人かが同じお湯に交代で浸かることはありません。自分一人のためだけにお湯を張って、その中で体や頭を洗って、バスタオルで拭いて出るシステム。
だから、バスタブ内で洗いと入浴が完結してしまいます。そのため、欧米の浴室には洗い場がなくても大丈夫なんです。
まとめ
日本人が「とっても不便」と感じることの多い、イギリスのお風呂についてご紹介しました。
たかがお風呂、されどお風呂。
地球の裏側にある異文化の異国で、異言語で暮らすわけですから、さまざまな不便や悩みが生じるのは当然ですよね。でも、イギリスのお風呂問題、一見、マイナーなようですが、毎日のことなのでけっこう大きな悩みです。
これからイギリスを旅行される方、イギリスで生活をされる方の参考になればうれしいです。
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