こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
英語が毎日の暮らしの中の言葉になってずいぶん長い年月がたちました。その間、いろいろな国を訪れましたが、今回は言葉で「特に」恥ずかしい思いをしたスコットランドの旅行のお話です。
目次
夜行列車はゆく
スコットランドへの列車の旅といえば、かつて英国国鉄が誇った「フライングスコッツマン」。1994年の民営化後は、GNER(グレート・ノースイースタン・レイルウェイ)がその路線を引き継ぎ、現在では、ヴァージン・トレインズ・イースト・コーストが列車を運行しているそうです。
スコットランドへ列車の旅
ロンドンとスコットランド(エジンバラ、グラスゴー)間は何度か往復している筆者ですが、ここ10年ほどはイギリス旅行といえば車が定番になってしまったため、列車の旅の記憶は古いんです。
語学学校時代に友人と訪れたスコットランドの旅は、古い記憶ながら、今も鮮明におぼえています。すごく印象が強かったんですね。
「夏の間にぜひスコットランドに行ってみたいよねー」
と意見が合い、地元駅で調べたところ、往復ファーストクラスの夜行ならかなり安くいけるチケットがあることを知りました。たどたどしい英語ながら、なんとか駅の旅行センターで切符を予約・購入。8月末のスコットランドに向かいました。
ロンドンまで出て(確かキングスクロス発)、あやしげな夜の駅のプラットフォームを歩き、予約したインターシティ(急行)に乗り込みます。20代はじめのふたり、列車の一等車なんて乗ったことありません。ドキドキです。
ハイソな貴族とかが乗っているのかなあなんて言いながら。。。
夜行の格安列車の乗客たち
でも、さすが夜行の格安チケット。ファーストといえども、ハイソな雰囲気の人はほとんどいなくて、貧乏旅行者ばかりでした(笑)。
ファーストクラスなので、横は3列(一人がけと二人がけ)、ボックス型。スペースにゆとりはあるもののリクライニングに限界があり、寝るのは至難の技。
よく昔の人は急行列車で10何時間とかゆられて旅行したもんだ、と感心することしきり。疲れます。
それだけじゃなかったんです。
夜行で眠れなかった最大の理由
我々の前の席2席が空いているとみて、(たぶん)パキスタン系の家族が子供を勝手に座らせてきました。おばあさんと、おかあさんと子供二人。一人は夜泣きしっぱなし。おばあさんはなんだか一晩中ブツブツと呪文のように独り言。
さらに、それだけじゃなかったんです。
子供、おねしょしました。座席はびっしょり。
その子のおかあさんたら、ジェスチャーで私と友人の間に子供を座らせてもらえないかというとんでもない要求まで。。。
ありえんでしょ、ふつう。
さすがに固く断りましたよ。。。。。
警察沙汰の騒ぎまで
夜中に酔っぱらいが騒ぎを起こして途中で急停車し、警察が乗り込んできて、、、なんていう出来事もありました。
あなどれない(悪い意味で)、夜行列車の旅でした。
異文化体験、ですね。
最果ての地への旅
格安ファーストクラスの夜行列車は、翌朝、終点グラスゴーに到着しました。
降りた途端、「えっ、冬?」。
「寒いかもしれない」と思って持ってきた手袋と厚手のセーターが大活躍。8月ですけど。
グラスゴーから目指すは、ハイランドの首都インバネス。そう、ネス湖の近くの街インバネスです。延々と電車の旅は続きました。
でも見るものすべて初めてで新鮮。スコティッシュ・ハイランドなんてなんとなくロマンチックで素敵。「最果て」好きなんです。
インバネスは寒々とした街ではありましたが、ハイランドの中心だけあって大きな街という印象でした。ここでも「宿は飛び込みで探す」を実践しましたが、リーズナブルな価格で心地よい小さなB&Bが見つかりました。
「なんとなく、ニオうんだよね、こっちにB&Bありそーって」といいつつ、本当にそこだけは直感が働くんですね。雨に降られることもなく、「満室」の札に悩まされることもなく、インバネスでは宿に関してはアタリでした。
スコティッシュ・ハイランドでコンニチハ。
閑散としたインバネス
インバネスのレストラン。8月末というのは、観光シーズンが終わった時期なのか、夕方過ぎの街は閑散。もちろん、かなり寒いし。
街歩きの最中に見つけたレストランで夕食をとることにした二人。
レストランの中も閑散としていて、わたしたちのほかにお客は中年の男性一人だけでした。
いかつい雰囲気のコワモテの男性、マフィアか?と怯えながら、日本人女子2名、調理しすぎて固く、塩辛いだけで風味のない、決して美味しいとは言えないローストポークの夕食を食べました。
最果ての地で日本語
スコットランドの、それもほぼ最果てのインバネス。二人は遠慮なく日本語でペラペラ話し合い、コワモテ男性についても「マフィアかもねー」「おじさん、こわげだよねー」なんてコメントしたり。
さて、コワモテのままニコリともせずにデザートまで済ませた男性、急にわたしたちのほうに向かってニッコリ。
「おふたりは日本人でしょう? わたし、以前、日本に住んでいたので日本語も少しわかるんですよ」(←しかも結構上手な日本語)
このときの我々二人の恥ずかしさ、わかっていただけますでしょうか。
穴があったら入りたいとはこのことです。英語圏の、それも人気のほとんどない田舎町だから、だれも日本語なんてわかるはずない、とタカをくくっていたんですね。田舎者はわたしたち。
日本を遠く離れた外国の、それも首都から十何時間も電車で旅した果ての、まさかその閑散とした街の、閑散としたレストランで、居合わせたたった一人の客が、「日本語話せます」。
首都ロンドンでも、日本人以外めったに日本語を話せるイギリス人なんていなかった時代なのに。。。
まとめ
どうせわからない外国語だからと、軽はずみに人の噂はするべきじゃない、と悟ったハイランド体験でした。
ネス湖の黒く光る湖面より、三十分ごとに変わる荒れた天気より、何よりも、インバネスのおじさん、スコットランドの思い出としてずっと心に残っています。