フランス人といえばバカンス。
長い夏休みを優雅に楽しむイメージがあります。
長期間休んでみんな何をしているの?
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
フランス人と言ってパッと頭に浮かぶことといえば…。
「休みのことばかり考えている」
ということ。
フランス人の夫と知り合った頃、1年中休暇のことばかり語っていて驚きました。
本当のところ、フランス人ほどバカンス好きな人々はいないかもしれません。
バカンスを軸に1年が回っている、といっても過言ではないほど。
子供も大人も、フランス人にとって休みはとても重要なんです。
この記事では
フランス人にとっての「休暇」とは
フランス人の長期休暇の過ごし方
バカンス期間のフランス旅の注意点
についてご案内したいと思います。
フランス人のバカンスについて、その内側をのぞいてみませんか!
目次
フランス人は長い休みを取る
例えば、フランスの夏。
ニースの海岸でビキニ姿の女性が日光浴をしている、というイメージありませんか?
リッチな雰囲気ありますよね。
そうなんです。
フランスでは、誰でもが数週間というまとまった期間のお休みを取ります。
それも、毎年のこと。
中には、夏に数週間、クリスマスに数週間、合間にさらに週単位で休む人もいます。
フランス的バカンス文化
フランス人はバカンスを主軸に置いて働いている
多分、こんな感じで働いている人が少なくないと思われるフランス。
少なくとも、筆者の周辺ではそうです。
日本でも、「働きすぎだ」「もっと休むべきだ」と言われてけっこう長いですよね。
企業によっては、有給休暇を積極的に取らせるところもあります。
それでも、休むと仕事が遅れる、まわりに迷惑をかける…といって、なかなか長期では休みにくいもの。
「あまり休むと席がなくなる(解雇されちゃう)」なんて真剣に思っている人もいたり。
勤勉であることが美徳な日本では、「休暇=遊ぶ」。
働かないで遊ぶことに後ろめたさを感じてしまう、という人も多いのではないでしょうか。
一方、フランスは「休む権利」がとても明確。
働いた分はきっちりと休んで人生を楽しむのが当たり前という文化なんですよね。
「休暇=贅沢」にはならないんです。
そのメンタリティの違いがハッキリ現れるのが、「定年退職」への感じ方。
フランス人は定年退職をそれはそれは楽しみにしています。
定年を期に起業する人もいれば、ヨットを買って海上ノマド生活を楽しむなど、人生のボーナス期間と捉えている人がほとんど。
フランスと日本の「休暇」の違い
フランスと日本では「休暇」の過ごし方も違います。
日本人の休暇
例えば、日本人は大型連休やお盆、お正月にまとまった期間を休む人が多いですよね。
全国一斉に「休み期間」なので、交通機関は大混雑。
宿泊施設の値段もバカンス価格になって一気に高くなります。
そして、「せっかくの休みだから」と動き回って、かえって疲れ果てたり。
子供たちの夏休みも同じ。
宿題、自由研究、ラジオ体操、部活動や各種大会に登校日。
普段できない活動をするための休みになっています。
フランス人の休暇
フランスの休暇は、休むための休暇。
普段できない娯楽で思い切りのびのび遊ぶ時間です。
子供たちの夏休みも、宿題などないため本当にヒマ。
ヒマすぎるので、親はいろいろなアクティビティを用意するわけです。
休暇中、ぜったい無理はしないし、楽しくないことはしないんです。
そして、一生懸命働こうものなら、
と言われてしまうんですね。
フランス人は実際どれくらい休むのか
フランス人の休みの取り方をご紹介しましょう。
子供・学生
フランス人が、バカンスを軸に年間計画を立てなくてはいけない理由の一つが、
学校がしょっちゅう長期休暇になる
という点です。
学校休暇の例:
休暇名 | 期間 | |
トゥーサン(万聖節)休暇 | 10月下旬〜 2週間 | 全国一斉 |
クリスマス休暇 | 12月下旬〜 2週間 | 全国一斉 |
冬休み | 2月中旬〜 2週間 | ブロックごとにずらして休む |
春休み | 4月初旬〜 2週間 | ブロックごとにすらして休む |
夏休み | 7月・8月 | 全国一斉 |
全部合わせると4ヶ月!
1年の3分の1は休みですよ。
本当に、「いつ勉強するの?」というくらい休みが多いんです。
社会人
企業などで働いている場合、1ヶ月につき 2.5日の有給休暇が与えられます。
(ただし、同一企業で働き続けている人の場合で、週6日働く前提。)
週休2日の人の場合、年間では25日。
土日を加えると5週間の休暇が付与されるということです。
例えば、こんな休暇の取り方ができますよね。
休暇期間 | 有休消化日数 | |
クリスマス休暇 | 12月24日から1月1日まで9日間 | 有休消化5日。(12月25日と1月1日は祝日で、土日も入れて合計9日の休暇) |
子供の冬休み期間 | 2月に9日間 | 有休消化は5日(前後の土日を入れて9日間) |
子供の春休み期間 | 4月に4日間 | 有休消化は1日(復活祭の2連休と合わせて取得) |
夏休み | 8月に3週間 | 有休消化は14日(8月15日は祝日で、土日も入れて23日間の休暇) |
有給消化日数の合計 ➡︎ | 25日 |
長期のバカンスは誰でもとれる?
日本では、週単位の有給休暇をとるのが難しい職場も多いですよね。
外資系企業の一部で1〜2週間の連続休暇がとれるくらい。
マネージメントに外国人が多いと、彼らが長期休暇を取るので、日本人スタッフもわりと休みをとりやすい環境です。
フランスではどうかというと、
「まとめて休むのは当たり前。きちんと休まないと、体にも心にも悪い」
という考えが主流です。
長いバカンスは、お金持ちや一部の会社員だけの特権じゃないんです。
本当に、誰でも長期休暇を取ります。
● 会社員や公務員は、夏とクリスマス、そして子供の休み期間に合わせて。
● 教員は、学校が休みの時はずっと自分達もお休み。
● サービス業の人々は、交代で。
● 個人商店は、年に1〜2回、数週間から1ヶ月単位で。
● 医師も夏などには長期で休暇を取り、その間は代診の先生。
● 退職した高齢者たちも、やはり夏やクリスマスに休暇で別荘や地方へ。
ラテン諸国から移住してきた労働者も、夏には1ヶ月単位で休んで帰省するようです。
▼ フランスは今も昔も日本人にとって人気の海外旅行先。「フランスならでは」のフランスあるあるをご紹介します。>> 【フランス生活あるある25連発】フランスの「普通」がわかります!
フランス人は長期休暇で何をする?
長い休暇のフランス人たち、その休暇を使って一体何をしているのでしょうか。
旅行する
「お金を使わずに長期休暇を過ごすフランス人は、旅行とか贅沢はしないんじゃないか」と思われるかもしれません。
でも、夏休みシーズンや子供たちの長期休暇には、フランス国内の観光地はどこも混雑します。
国内旅行だけでなく、バカンス開始時の空港、国際線も大混雑。
観光名所を巡り、ホテルに泊まり…という旅をする人もいますが、全国各地にある自炊できるアパートホテルに滞在するケースも多いのではないでしょうか。
休暇自体が長いので、その数日間を観光旅行にあてるわけですね。
海や山や田舎の家に滞在する
親から譲り受けたり、相続した田舎の家。
海や山の風光明媚な地に購入した別荘。
親戚や友人の家。
これらに滞在して、ゆっくりのんびり、その地ならではのアクティビティを楽しむわけです。
宿泊費はかからないし、チェックインやチェックアウトもなし。
気が向けば滞在を伸ばしたり、縮めたり。
本当に、ゆっくりのんびりです。
フランスの「田舎の家(メゾン・ド・カンパーニュ)」での典型的な1日
- 朝は自分のペースで起床、庭の木陰においたテーブルで朝食。
- 木陰で読書をしたり、散歩をしたり。
- 遅めのランチにコーヒー。
- 昼寝をしたり、庭のプールでひと泳ぎしたりして午後は過ぎていく。
- 夏の日没は午後9時過ぎ。
- 夕闇が迫る頃、一緒に滞在する家族や友人たちと、にぎやかに食前酒。
- もちろん夕食も遅め(9時スタートとか…)で深夜まで議論が続きます。
家の修繕やリフォーム
フランスの男性は日曜大工が大好き。
老いも若きも、ちょこちょこ家の修理などに精を出します。
壁の塗り替え、床の張り替え、電気設備の工事、浴室のリフォームなど、たいていのことは自分でやってしまう人も多いです。
(業者に頼むと、工期が長いうえに予定が絶対遅れるし、人件費が高い)
夏が近づくと、ホームセンターなどのチラシは「夏の日曜大工ツール&資材」で大賑わい。
友達同士でお互いの家のリフォームの手伝いをしあう人も。
アウトドアスポーツ
フランス人の好きなアクティビティのひとつが、プロムナード。
「散歩」です。
日曜の午後など、家族連れ立って近所や郊外を散歩する人たちを多く見かけます。
休暇中も、山や高原、海や森など、散歩をする人たちがたくさん。
そのほかにも、休み中は普段できないアウトドアスポーツを楽しむ人が多いです。
- 登山
- トレッキング
- クライミング
- セーリング
- カヤック・カヌー
- スキー
- スノーボード
- スノーシュートレッキング
フランス人のバカンスへの情熱
フランスといえば、グルメの国、芸術の国、愛の国…。
でもフランス人を一言で表現したら「バカンスを心の底から愛する人々」かもしれません。
それほど、休みに関しては情熱的!
バカンスには計画的なフランス人たち
ラテン気質で、わりと行き当たりばったりなフランス人。
友人宅のディナーなど、急に誘われたりすることもあるし、急な誘いでもノリのいい人も多いんです。
そして、工事やデリバリーなど何事も予定通りに進まないのもフランス流。
それなのに、年間の休暇計画だけは年度はじめにきっちりと詰めておくという人が多いんです。
バカンスは生活リズムのひとつ
バカンス計画だけは、かなり前もって綿密にプランするフランス人。
長期できっちり休暇を取るには、計画性が必要だからですよね。
日本の企業でよくある、
「年次有給休暇は20日まで翌年繰り越しOK。」
という制度は、基本フランスにはありません。(実際には手続きすれば、「定年退職時に消化する有給ストック」のように、若干の繰り越しは可能だったりします)
みんな、有給休暇は1日でも無駄にしないよう、しっかり計算しつつ休みます。
誰でもが長期バカンスを毎年楽しむのが、フランス社会の常識。
そのため、バカンスは生活リズムのひとつなんです。
子育て世代は特にしっかり計画
学校の長期休みが年間に何度もあるため、それもバカンスを生活の軸の一つにせざるを得ないとも言えるでしょう。
子供がいる家庭では、特に年間での計画をしっかり立てておく必要があります。
● バカンス期間中、子供をどうするか?
● 夫婦どちらかが休暇をとって子供と過ごすか?
● 学童保育やレクリエーションセンターに通わせるか?
● 祖父母の協力は得られるか?
子供を学童やレクリエーションセンターに預ける場合は、かなり事前に申し込みが必要になります。
▼ 日本とフランス、子供たちの生活ぶりがこんなに違います!>> 【フランスの小学校】日本との違いは「日仏の常識の違い」そのもの!
時節の挨拶もバカンス
バカンスが毎年の生活の一部なので、次節の挨拶もバカンスが話題になります。
6月くらいになると、どこに行っても
バカンスはどこへ行くの?
という話に…。
8月終わりには、
バカンスはどうだった?
とお互いに聞き合う、という感じ。
子供の長期休暇前後も同じような会話が繰り広げられます。
つまり、だいたい1年中バカンスの話題。
みんなたいていどこかに出かけるので、この話題はタブーになりにくい…という理由もあるかもしれないですね。
フランスではなぜ長期バカンスが可能なの?
長期でバカンスというと、お金が相当かかるのでは?と思いますよね。
フランス人のみんながみんなお金持ちなはずはないし、なぜ長期でバカンスに行けるのでしょうか。
バカンスインフラが整っている
フランスでは、長い休暇を楽しむための仕組みがちゃんと構築されているんですよね。
必ずしも大金を使わなくても、バカンスに出かけることはできるんです。
長期休暇用の施設が充実している
まず、家具・日用品付きのバカンス用アパートが全国にあります。
超高級なセレブ物件から、安価なものまで、予算や人数に合わせて選べるんですね。
安く利用できるバンガロー村やキャンプ場も、いろいろなところにあるので、子供連れの利用者には喜ばれるようです。
施設内に公園やプール完備というところもあります。
時間に余裕を持って予約すると、けっこういい物件に当たったりしますね。
セカンドハウスを持つ人が多い
セカンドハウスというか、別荘というか、とにかく「別宅」を持っている人がかなりいるようです。
日本で「別荘」というと、セレブな一部の人のための贅沢…というイメージですよね。
でもフランスでは、ごく一般の家庭でも別荘を持っていたりします。
先祖代々の田舎の家や、親の代に購入した山荘だったり、海辺のアパートだったり。
いったん建てられた家やアパートは、手直ししながら使い続けるフランスなので、そういった「田舎の家(メゾン・ド・カンパーニュ)」も親から子へ受け継がれ続けていくんですね。
親戚・友人・知人宅滞在も多い
ラテン民族のフランス人、親戚付き合いも濃厚。
結婚後も家族ぐるみで友人と付き合うことも多いし、子供を預けて夫婦で友人たちとパーティーに出かけることもしばしば。
というわけで、バカンス中に「親戚の家の近く」や「友人の別荘の近く」を通過するときなど、そのお宅に泊めてもらうことも多いんです。
友達や親戚の別荘で数週間のバカンスを過ごす…というパターンも珍しくありません。
日本とはお金のかけ方が違う
フランスで暮らしていて、感心することの一つが「あるもので済ませる」精神。
日本は、週末や夜遅くでもお店が開いていたり、どんどん新製品が開発されたりして「消費」が奨励さえやすい雰囲気があります。
それは休暇のお金の使い方にもあらわれているかな、と感じるんですね。
< フランス人の「休暇を安くあげる方法」 >
● 先祖が残した古い家や、親戚や友人の家を宿泊に使わせてもらう。
● 予算控えめのバカンス用アパートを年度はじめには押さえておく。
● 自炊をして、旅先でも食費をあまりかけない。
● 移動中もパンやハム、チーズなどを持参して簡単に食べる(レストランは使わない)。
● できるだけ車で移動する(家族分の交通費を抑える)。
日本で旅行というと、1泊2食付きの旅館やリゾートホテルなどに宿泊する人が多いかと思います。
家族数人分の宿泊費はかなりの金額になるので、週単位で滞在するのは大変。
まず、バカンス用アパートという施設自体が少ないですよね。
日本とフランスでは、休暇へのお金のかけ方が違うんです。
バカンス期間にフランスを旅するなら
フランス全体がバカンスの時期は、日本も夏休みや年末年始休暇などでお休みを取りやすい時期ですよね。
この時期のフランス旅行では、いくつか注意しておいた方がいいポイントがあるのでご紹介しましょう。
‼️ バカンス期間のフランス旅行の注意点 ‼️
● バカンス時期は商店もバカンス
● 観光地や保養地は混み合う
● 交通機関もダイヤが変わる
● 医療にもバカンスの影響がある
バカンス時期は商店もバカンス
特に7月から8月の夏休み時期は、個人商店も長期休暇に入るところが多いです。
それも1ヶ月くらい。
パリ市内も「年次休暇」の張り紙を貼ってシャッターを閉じた店舗をいたるところで見かけます。
ただ、衣料品や食料品などのチェーン店や、百貨店、ショッピングモール、大型店は通常営業です。
観光地や保養地は混み合う
シーズン中の観光地はフランスでも混雑します。
海水浴シーズンの地中海沿岸やバスク地方などは、どこもいっぱいの人出。
アルプスはスキーシーズンだけでなく、夏場も登山客や観光客で大賑わいですね。
その時期、宿泊施設もお値段は上がるし、予約も取りにくくなりますので注意が必要です。
交通機関もダイヤが変わる
夏のバカンス期間中は、交通機関のダイヤも変わります。
都市部の電車・地下鉄・バスなどが「夏休みダイヤ」になるので、運行本数がぐんと少なく…。
夏のダイヤでは、路線自体が「お休み」になるところもあります。
バスを待っても待っても来ないと思ったら、夏は全面運休だった…ということにも。
要注意です!
医療にもバカンスの影響がある
旅行でフランスを訪れる方には直接の影響はあまりないかもしれませんが、医療のこと。
開業医の多くの先生が7月〜8月に1ヶ月お休みをします。
その間は、代理の先生が勤務していたり、近隣の医師を紹介される仕組み。
ただ専門医の場合は、変わりがいなかったりするために休暇後まで診察を待たなくてはいけない場合もあるんです。
「フランスでは夏に病気になってはいけない」という人もいるくらいです。
まとめ
フランス人はバカンス大好き国民。
たくさんまとめて休むために仕事をしている…といっても過言でないほど。
だれでもが長期休暇を毎年楽しむフランスの、普通の人々にとってのバカンスの様子をお届けしました。
お金をかけずに、非日常を楽しむフランス人のバカンス術、日本ではなかなか実現が難しいかもしれません。
でも「お金より工夫」というスタンスは、ちょっと真似してみてもいいですよね。