海外に住みたいけれど、もちろんいいことばかりじゃないよね?
海外生活で日本人が困ることってなんだろう?
経験者の話を聞いてみたいです!
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
学生時代、会社員時代も合わせると、海外で暮らしてきた年月は20年以上になります。
よいこともあれば、「あれは大変だったな」と思うこともたくさんあったこれまでの海外生活。自分で夢見て渡航した国もあれば、仕事で派遣された国もあります。
そして今は家族と共に欧州暮らしが続いていますが、何年経っても「外国生活、ここが困るよな〜」と思うこともたくさん。
この記事では、
海外生活で日本人が困ること
海外生活ならではのメリット
を生活者目線でお届けします。
「いずれは移住を…」とお考えのかた、「もうすぐ海外へ」というかた、参考にしていただけましたらうれしいです!
目次
海外生活で日本人が困ること10選
日本人が海外で生活する時、「これは困ったな」と思うのはどんなことでしょうか。
筆者が初めて海外生活を送ったのはイギリスなのですが、インターネットも携帯電話もない時代のこと。遥か昔の話なので、情報も少なく日本とのやり取りは航空郵便か高額な国際電話でした。
そんな「外国が今より遠かった」時代、イギリスと日本では違うことだらけで、戸惑うことばかりでした。
時代が進み、離れた国の間でのビデオ通話は当たり前の今ですが、よく考えると「日本人が海外で困ること」にはそれほど変化はないような気がしますね。
ここに、海外生活で日本人が困りがちなことを10個あげてみました。
- ビザの取得
- 理想の仕事
- 食生活
- 欲しいものが見つからない(ピンポイントで欲しいものが見つからない)
- 言葉の壁が厚い
- 海外特有なストレス(外国人ストレス)
- 常識が違いすぎる
- なにかと不便が多い
- 日本が遠い
- 医療面で不安
一つずつ見ていきましょう。
ビザの取得がけっこう大変
「海外移住したいんだ〜」と、なんだか最近はとても簡単なことのようなイメージが先行していますよね。
でも、実は滞在するためのビザの取得が難関だったりもするんです。
学生として滞在した期間は、学校からの証明書があったのですんなりビザがおりたのを覚えています。
企業から派遣の駐在員の場合は、会社の担当部門で全部手配してくれたのでビザの心配はありませんでした。
難しかったのは労働許可証の取得を目指していたカナダ時代ですね。
就労のためのビザがないと仕事を見つけるのは困難です。いっぽうで、「この人以外に任せられる人がいない!」という企業からのサポートレターがないとビザは申請さえできないんですよね。
まさに、卵が先かニワトリが先か…です。
私の場合は、永住権と言われる期間無制限の就労ビザを取得するまでは、1年ごとの短期労働ビザを申請しました。
この短期労働ビザは、企業に対して発行されるので、勤務先を変えることができません。3年後に期間無制限の就労ビザをいただくまでは、低賃金で条件のあまり良いとは言えない職場でなんとか我慢しました。
実に貧しい暮らしでしたね。
それから月日が経ち、結婚してフランスに住むようになってからは、すんなりとビザ自体は取れるのですが、毎回更新にとても時間がかかり面倒です。
理想通りの仕事が見つからない
海外で生活するにあたって、日本と比べて大きく違ってがっかりすることのひとつが「仕事が簡単には見つからない」ことではないでしょうか。
就職活動では、現地で生まれ育って教育を受けた人たちと競い合うわけですから。現地の言葉の他に「日本語に堪能」なのは、残念ながらあまりプラス要素にはなりません(日系企業なら話は別です!)。
逆に、現地の言葉がネイティブレベルでないことは大きなハンデになってしまいます。
日本でなら、「英語できます」「フランス語できます」が特技としてウリになりますよね。言語能力を加味した収入も望めます。
その感覚のまま海外で就職活動をすると落胆することが多いかもしれません。東京のような仕事はなかなか見つからないので…。
住居探しで苦労しがち
「海外では住居探しも大変だよ」というのを聞いたことはありませんか?
SNSでもよく見かける「アパート探し難航」「家探し大変」といった投稿。予算がふんだんにある場合は別ですが、少なくとも欧米ではけっこう面倒です。
学生や若い世代ではアパートや家のシェアは、安く一定水準の住居に住むことができるのでとても一般的な形態なのですが、居心地のいい住居や仲間と巡り会うのは運と縁しだい。
数人でシェアを始めたものの、途中で抜けていくルームメイトもいるし、決まりを守らない(家賃を滞納する)ルームメイトすら時々いたりするのが困りもの。
また、単純にルームメイトと気が合わない…ということも大いにありえる話で、住居のことなのでこれ結構困る状況です。
家族で家探しをしたとき、独身の頃のように「とにかく安く」とまではいきませんでしたが、やはり納得いく物件にたどり着くのは大変でした。
結局、何十件も内見した挙句に「土地を買って家を建てる」方向にシフトしたくらいです。
住宅サイトや不動産業者のリストから探すのは、日本と基本的に同じですが、日本の不動産業者のような懇切丁寧な対応は期待できないかもしれません。
▼ 海外で暮らす時、意外とたいへんなのが住むところを探すこと。とんでもない驚き物件の体験談はこちら!
食生活に馴染めない
これまでいろいろな場面で出会ってきた数多くの「海外在住日本人」のかたほぼ全員が、日本食を好むひとばかり。
日本に住んでいた時はフレンチやイタリアン、エスニック大好きだった人でも、海外生活が長くなると「やっぱり和食が体に馴染む〜」となるらしいです。
日本人が集まると「お米はどこで買うといい」「お味噌を作ってみた」「餃子の皮はどうやって作る」など、子供の頃から食べ慣れた食品を追い求める会話で盛り上がりますし。
食生活に馴染めなくて困る、というより手に入る食材で慣れ親しんだ和食をどう再現するかに一生懸命になりますね。
▼ 日本人が海外生活で特に辛く感じることの一つが食生活のようです。外国でも日本の食卓を再現できるちょっとした工夫を集めてみました。
欲しい日用品が見つからない
これ、地味に困るポイントなんです。
使いたい生活雑貨がなかなか見つからなくて困ることが多い海外生活。
例を挙げてみます。
- 小さな密封容器(ちょっと残ったソースや薬味などをいれたいとき)
- おろし器
- 切れ味抜群の包丁
- ちゃんとかゆみの止まるかゆみ止め
- 使い勝手のいい小ぶりの爪切り
- ビューラー
「あれって、どこで売ってるんだろう?見つからない!」と思ったもののほんの一部です。
在住者の多くは、こういった細々としたものを一時帰国した時に日本から運んくるんですよ。たとえ住んでいる国に同じようなものがあっても、「えっ?」と思うほど値段が高かったりします。
言葉の壁が厚い
個人的には、「海外困ったシリーズ」のナンバーワンかもしれません。
英語圏での生活は若い時にスタートしたため、さほど困ることなく(自分の拙い英語に気づくこともなく)過ごしてきましたが、社会人生活をたっぷり経験した後に移住してきたフランスでは困りっぱなし状態が続いています。
子供の成長に伴い、自分たちの老化に伴い、未知のボキャブラリーのるつぼにハマって戸惑う…という状態ですね。学校、進学、医療などなど、どんどん知らない言葉が出てきますから…。
第二、第三外国語が急に生活言語になった場合、その言葉の壁の厚さに困っているという人は少なくないのではないでしょうか。
海外特有なストレス
東京での会社員時代、深夜近くにオフィスを出てふと夜空を見上げて思ったものです。
「こんな社畜人生もうムリ!ヨーロッパかなんかでスローライフを満喫できたらストレスなんてなくなるだろうに…」
その後、ご縁があって本当にヨーロッパ(しかも田舎!)に移住しましたが、ストレスがなくなるなんていうことはありませんでした。逆に、体力的に辛かった会社員時代よりずっとストレスを感じる日々かもしれません。
海外には海外生活特有のストレスが山のようにあります。
その一つがアウェーストレス。ずっと外国人として暮らすわけですから、海外生活は勝手の違うアウェーの試合のようなもの。
思い通りにことが進まない、言いたいことが伝わらない、食べたいものが食べられない、などなどさまざまな海外ストレスにさらされているわけです。
常識が違いすぎる
必ずしもネガティブな困り事ではないですが、常識の違い問題。
郷に入っては郷に従えと言いますが、日本人は日本の常識に沿って育てられ教育を受けているので、海外の慣れない常識には戸惑うことも多いでしょう。
見習いたいナイスな常識もあれば、「えっ、ムリ!」といいたくなるようなこともあります。
例えばフランス。
1枚のフキンで皿を拭き、手を拭き、ついでにお口までぬぐっちゃって、それをみんなで使い回す…、という不衛生な行為も「普通」に行われています。
また、約束した時間に工事業者が現れない、宅配便が全く来ない、なんていうことも日常茶飯事ですよ。
「まあ、そんなものよね、おたがいさまよね」と受け入れるまでは戸惑いますよね。
▼ 外国では、日本ではごく当たり前の常識と思われていることが、全然違っていたりします。海外で生活すると見えてくる、日本人がびっくりすることとは?
なにかと不便が多い
日本に一時帰国するたびに、サービスの質の高さを実感し、欧米と比べると至れり尽くせりの便利な社会に感激します。
海外で暮らしていて不便を感じる一つの例が、宅配便。
荷物の宅配サービスが全くない、というわけではありませんが、自分で郵便局に持ち込んで発送というのが一般的。日本のように気軽に旅行荷物を宅配便で送るシステムはないんです。
空港から宿泊先へ、宿泊先から空港へと大きな荷物での移動が多い一時帰国。日本なら迅速・正確がサービスが信頼できる宅配便があるので安心ですよね。
少なくともフランスでは、空港に大荷物で到着したら自分で運ぶしかありません。タクシーで行ける範囲ならいいですが、空港から車で何時間もかかる我が家などは困ってしまいます。
また、日本のコンビニのような「いつでも開いていて、生活に必要なものがとりあえず揃う」お店もありません。
清潔な公共のトイレが極端に少ない、というのも不便で困る点。日曜日の郊外ドライブなんて、トイレ休憩の場所が見つからずに困ることが多いですよ。
▼ サービス充実社会の日本と違い、海外生活では「不便」を感じることがとても多いもの。ヨーロッパ生活ではどんな点に不便さを感じるのかご紹介します。
日本が遠い
日本が距離的に遠いのは当然のことですが、相続などで書類が必要な時はより一層遠く感じます。
戸籍謄本が必要なのに、本籍地に親兄弟など血縁者がいないという時、困ってしまいました。
どうしたかというと、
- 地元に住む友人に連絡をとり、代理申請して欲しい旨お願いする
- 友人あてに委任状を作成してデータで送付
- 友人がそれを印刷し、役所で代理申請
- 発行された戸籍謄本を国際書留で送付・受け取り
- 後日の一時帰国時に発行手数料と送料を精算
という手順をふみました。
これも、頼れる友人が地元にいてくれたから可能だったわけですよね。
また、近親者に何かあった時に間に合わないこともあります。
「危篤」の報を受けて、すぐに航空券を手配しても時差と距離で日本到着まで1〜2日はかかってしまうことが多いかと。
実際に、自分の場合は親族の危篤の報を受けて最速で出発しましたが、間に合いませんでした。
▼ 海外在住者がホームシックにかかったとき、どうしているか。すぐには帰れない日本、気持ちをラクにするための方法とは?
さらに、日本が遠いということは肉親だけでなく、大切な友人たちとも遠く離れるということ。
家族を持ち、子供を育てている大人世代が「心から一緒に笑える友」を新しく作るのは意外と難しいもの。ましてや親友と呼び合える人がすぐにできるとは限りません。
友達が遠い、というのも海外生活で困ることの一つです。
いまはSNSで簡単につながれるとはいえ、やはり同じ空間で悩みを分かち合ったり、笑い合ったりする時間はネット上でのやりとりでは代わりにならないんですよね。
▼ 海外で暮らしてみたい…。独身の海外移住、思い切って行くべきか悩んでいる人へ、行動してよかったこと、困難に感じたことなど経験者の視点でご紹介します。
医療面がなにかと不安
日本の医療システムに不安を感じる人も多いことでしょう。
予約をしても長時間待たされる、専門クリニックへのアクセスが悪い、などそれぞれの立場によって医療に関しての感じ方は違うかもしれませんが…。
それでも日本の医療サービスは、他の先進各国と比べても優れているように思います。専門医へのアクセスも抜群によいのではないでしょうか。
フランスでは眼科の予約は6ヶ月から1年後、皮膚科や耳鼻科も同様です。急病でない限り婦人科だってすぐには診てもらえません。
企業からの駐在員として生活しているご家庭では、毎年の日本への一時帰国時に人間ドックを受けてくるというのはよく聞く話。
言葉の不安ももちろんですが、やはり現地医療には不安を感じるとおっしゃる方が多いようですね。
海外生活ならではのメリットもある
海外生活で日本人が困りがちなことを、自分自身の経験も入れてご説明してきましたが、もちろんメリットもたくさんあります。
移住をお考えのかたなら、海外での暮らしのご自分にとってのプラス面をご存知かもしれませんよね。
欧米4カ国で暮らしてみて、実感した海外生活の利点はいろいろあります。
その中でも特に「ここは自分には合っている!」と思っているのは次の5つのポイントですね。
- ワークライフバランスが良い
- 生活にゆとりを持てる
- 自分自身の成長を実感できる
- 自然災害が少ない
- 良い意味でラク
一つずつ見ていきますね。
メリット1. ワークライフバランスが良い
欧米でぐるっと見回してみて感じるのが、ワークライフバランスの良さ。
東京でも長く働いてきたため、比較がしやすいのですが、やはり欧米のほうが仕事とプライベートの両方を充実させられる環境にあるように思うのです。
フランスで生活していると、日本の人から「フランス人って働かないんだってね〜」という質問をされます。
社会全体で見ると、働くことに重きを置いていない人々も確かに多いのですが、エリートと呼ばれる層はビックリするほど働き者。
それでも、きちんと休みは取るし、家族との時間も大切にする人が多いのです。
これは、以前働いていたカナダでもアメリカでも同様でした。
日本と欧米の会社員の働き方の大きな違いのなかで「欧米のほうが働きやすい」と感じるのは次の3つのポイントです(*あくまでも個人的な意見です。逆に日本のほうがいいという点も数多くあります!)。
- 日本はとにかく通勤時間が長くて、通勤が過酷な状況の人が多い(混んだ電車で座れない、など)
- 欧米のスタッフは「なんとなく残業」をしない
- 仕事の後に「ちょっと一杯行こうか」が少ない
メリハリをつけて仕事をすると言う点では、海外(というか欧米)のほうがいいなと感じますね。
メリット2. 生活にゆとりを持てる
自分が独身会社員だった頃の生活を思い出してみると、「生活のゆとり」という面で、やはり海外での暮らしの方がゆったりしていたと思います。
例えば、カナダで会社員をしていた時。手取り収入は生きていくギリギリでしたが、住環境は東京よりもずっとよかったですね。
通勤でヘトヘトになることもなく、仕事の後に友達と遊びに行く時間の余裕もありました。
家族で暮らすフランスでも、やはり住環境もゆったりしていますし、夫婦ともに時間的なゆとりも持てていてありがたいと思います。
メリット3. 自分自身の成長を実感できる
これは多くの海外生活体験者が言っていることでもありますが、自分自身の成長を実感しやすいのもメリット。
いろいろな民族的バックグラウンドを持つ人たちと交流することで、世界の文化や習慣を知ることができます。日本に住んでいると、関わることの少ない遠い国の異文化の人たちから学ぶことも多いんですよね。
そして、わかりやすい例としてはなんといっても語学力の向上。
英語だけでなく、暮らす国の言葉や、出会う人々の母語などに触れることもできるんです。これは大きな利点!
メリット4. 自然災害が少ない
少なくとも私が生活をしたことのあるところでは、自然災害に遭ったことがありません。
単なる幸運かとも考えましたが、実際に先進国と呼ばれる国って大きな自然災害が少ないんですよね。
だから文明も経済も安定して発展してきたわけでしょう。
(それを考えると、日本はすごいです。数々の大地震や津波、戦災その他の自然災害を都度乗り越えて発展してきたわけですから!)
海外といってもエリアによりますが、自然災害が少ないところを選べばそれは大きなメリットかと思います。
メリット5. 良い意味でラク
自分をとりまくそれまでの歴史やしがらみを置いて、ゼロからスタートできる海外生活は良い意味で気楽です。
個人の自由を大切にする文化を持つ国では、あまり細かいことを気にする必要がありません。
例えば、女性が気になるのは自分の服装とメイク。
「もう春だからスプリングコートに変えよう。でも凍えるほど寒かった」なんて無理していた東京時代。
でも、いったん日本を出たら、そんな季節のしばりはナシ。自分が心地いいと思う服装とメイクでいいんです。
タンクトップの人がいる隣でダウンジャケットの人もいるという自由さです。誰も他人の服装なんて気にしていないんですよね。
日本では、そこが自分が生まれ育った国だからなのか、「こうすべき」というプレッシャーを感じることが多いのですが、海外では「自分がこうすべきと思うから行動する」が基本。
社会から押し付けがなく(少なく)、気持ち的にラクなのがいいですよね。
▼ 海外生活のメリットについては、下記の記事で詳しくご紹介しています!
まとめ
海外生活というと、「日本のような煩わしさがない」「自由」などプラス面にフォーカスされがち。
いちどは外国生活してみたいと思っている人も多いでしょう。
でも、渡航してみて「え、こんなはずじゃなかった…」となることも多いのが現実。
ここでは海外生活で日本人が困ってしまいがちなことをピックアップしてみましたが、いかがでしょうか。
まあそれなりに大変なことも多い海外生活ですが、得られることももりだくさん。メリットもデメリットも人によって受け取り方は十人十色かもしれないですしね。
月並みですが、「住めば都」というのは本当。海外生活のチャンスがあったらぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。