「イギリス大好き〜!」とか、「イギリスに旅行するんだ♪」とか、イギリスの話題でとても頻繁に出てくるコメントがあります。
「でも、イギリスって食事がおいしくないよね?」
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
日本人に限らず、世界中のいろいろな国の人々が固く信じきっている「イギリスは食事がおいしくない」伝説(?)。本当にそうなのでしょうか。
イギリスの食事は、本当にそんなにおいしくないのか?
(
庶民派フードの代表格、「バンガーアンドマッシュ」マッシュポテトとソーセージのグレービーソースがけ。個人的には「もっともイギリスらしくて美味しいごはん!」と思っています。)
かつて、林望さんがこれまでの定説の真逆をいく『イギリスはおいしい』(平凡社1991年、現・文春文庫)という画期的なエッセイを出版され、話題になりました。筆者もこの先生の著作は大好きで、いろいろ読みましたが、中でも『イギリスはおいしい』は切れ味抜群で、最高です。
林さんが著作の中で描かれているイギリスの食事については、首を大きく縦に振ってうなずきたくなる事柄ばかり。
確かに、壮絶なくらい、もう思い出してもゲップがでるくらい、まずいもの(というより、少なくとも、イギリス人以外には美味しく感じないもの)に出会うことはあります。
往々にしてそれらは、「塩味が圧倒的に足りない」か、「塩、ひと瓶入れちゃいました?」(塩辛すぎる)のような、極端に味がないか、極端に味が濃すぎるかのいずれかに相当します。
でも、おいしいものも数多く存在するんです。
筆者の頼りない経験からだけでも、いくつかオススメの食べ物はあります。
乳製品とティータイム
濃くて美味しい乳製品
乳製品、おいしいですよ。バターやミルクなど味が濃くておいしいものがたくさんあります。フランスに世界的地位を奪われてしまってはいますが、チーズもおいしいものがたくさんあります。
日本でもよく知られているスティルトンというブルーチーズでも、フレッシュミルクからつくられた農家製のものは、格別においしいです。同様に、オレンジ色のブルーチーズ、シュロップシャーブルーなども濃厚でたまらない味です。
(↑ シュロップシャーブルー)
チェダーも同様で、スーパーでパックに入って売られている大量生産のものは、それなりですが、チーズ屋さんで購入するタイプのチェダーはほんとうにおいしいですよ。
クリームティー万歳!
それから、イギリスと言えばアフタヌーンティーという方もいらっしゃるかもしれません。
ご存知、アフタヌーンティー
ホテルなどで楽しむ超豪華な「アフタヌーンティー」は、もはや「午後のお茶」ではなくてオシャレなお食事です。次のようなものがテーブルに運ばれてきます。
- サンドイッチ各種(スモークサーモン、きゅうり、たまごとクレス、ハム、チェダーチーズなど)
- ケーキや甘いタルト数種類
- スコーン(大ぶり。プレーンやドライフルーツ入りなど)
- ジャムとクロテッドクリーム
- お好みの紅茶(大きなティーポット+追加のお湯)
- ミルク(ミルクジャーにたっぷり新鮮な牛乳。冷たいもの)
なかには、シャンパンを最初にいただくアフタヌーンティーも。お腹パンパンになります。
クリームティー
午後のおやつの時間に、お茶とお菓子を、、、という場合は「アフタヌーンティー」というよりも「クリームティー」とよばれるものになります。
スコーン、クロテッドクリーム、紅茶の組み合わせをCream Tea(クリームティー)と呼びます。街のティールームなどに「Cream Tea」の看板が出ていたら、そこで気軽に楽しむことができます。
- 紅茶とスコーンが基本ですね。1人前はだいたい次のような感じです。
- お好みの紅茶(こちらも大きなティーポット+追加のお湯)*ティーカップで3杯分くらい飲めます。
- ミルク(ミルクジャーにたっぷり新鮮な牛乳。冷たいもの)
- スコーン2個
- ジャムとクロテッドクリーム
クロテッドクリームって何?
さて、スコーンに欠かせないのがクロテッドクリームです。
一見、「バター?」と思えるこってりとしたクリームですが、南西部のデヴォンシャーの伝統的乳製品で、バターよりはあっさりしていて、生クリームよりズシンとコクがあります。
縦半分に割ったスコーン(少し温めたもの)に、このクロテッドクリームをこってり塗り、手作りのいちごジャムなどのせていただきます。
真っ黒なくらいに濃いめに入れた紅茶に、これまた濃厚なミルクを(もちろん冷たいもの)を加えたミルクティーと一緒にいただくスコーン。至福の時ですよ。
心の中では、(あああ、このカロリーが怖い!)と思いつつも「たまにだからいいか」と味わうイギリスの味です。イギリスの空気がひんやり乾いているからこその、お茶の楽しみかもしれません。
さらに、ハイティー?
イギリスには、さらに「ハイティー」と呼ばれるお茶の時間もあります。
えっ、高級なお茶?と思ったら、午後遅い時間の夕食代わりのお茶のことだそうで。食事をいただくダイニングテープルを、ハイテーブルと呼ぶことから、そこでいただく食事のようなお茶、ということらしいです。
ホームステイ先では、日曜日の夕食がハイティーでした。
日曜日は、お昼にディナー(正餐)をいただく古い習慣を守っていた家庭で、午後1時頃から「サンデーロースト」と呼ばれる肉料理が出されます。もちろん、お酒も出るし、デザートもしっかりでます。
そして夕方6時頃、通常なら「ディナー」と呼ぶ食事の時間に「ティー」をいただきます。
- サンドイッチ数種類
- ケーキ数種類(スコーンもつくこと多し)
- ミルクティーたっぷり
と、こんな感じ。毎回、感動するくらいおいしかったですよ。
くだものとデザート
緯度の高いイギリスでは、あまり果物の生産は多くないようですが、北国だからこその味があります。
りんごは素朴な味わいで人気がありますが、家族がイギリス旅行ではまったのは、コックスという種類のリンゴをしぼったジュース。「他では味わえないさわやかさ」なんだとか。たしかにあっさりしてさわやかでおいしかったです。
また、ルバーブのコンポートを使ったデザートもおいしいです。ルバーブ、最近は日本でも都市部のスーパー等で目にするようになりました。
根元が赤い、フキのような姿。
( ⇧⇧⇧春先、市場に並ぶルバーブ )
「アナタ、どう見ても野菜でしょう」という姿で、その通り、野菜の仲間に入るらしいのですが、野菜として食べていますというひとはいないかも。和名は食用大黄で、便秘の薬(漢方でも)に使われるものだとか。
確かに、ルバーブのコンポートは繊維が豊富で、効き目ありそうです。
これを砂糖でコトコトと煮て、ジャムやコンポートにします。イギリスの家庭のデザートとして、ルバーブのコンポートにあたたかいカスタードクリームをかけたものや、ルバーブパイがあります。
ルバーブ自体はとても酸っぱいので、砂糖をたくさん加えて甘酸っぱくしたものに、これまた甘いカスタードをかけると、(カロリーは心配ですが)クセになる美味しさです。
デザートのパイ(デザートのケーキ自体、「プディング(日本名はプリンですよね)」と呼ぶことが多いです)などには、基本、ホットカスタードと呼ばれるあたたかいカスタードクリームをかけることが多いのですが、これも慣れるとクセになります。そして、例外なく、太れます。
太りそうなこってり系の話題が続きました。次回、もうすこしバランスよさげな食事のお話を続けたいと思います。
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