
旅行で行ったフランス、すごく良かったです!いつか住んでみたい…。
でも気になるのが食事。
レストランの食事はすごくボリュームがあったけれど、フランス人っていつもあんな食事をしているのかな。
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
フランスで生活していて気づくのは、フランス人の食へのこだわり。「食」という楽しみを本当に大切にしている人が多いんですよね。
なるほど、グルメの国と言われるだけあるな、と思います。
でも、いつも手の込んだ料理を食べているわけではなく、普段の食事はシンプルという家庭がほとんど。
これは旅行で訪れただけだとなかなか見えてこないフランスのディープな一面かもしれません。
この記事では、フランス人の食生活について
普通の人が普段食べている食事とフランスらしい独特な食スタイル
フランスと日本の食の類似点
といったポイントからご紹介していきます。
フランス人のごく一般的な普段の食生活をのぞいてみませんか。
目次
日本人が驚くフランス人の食生活
フランスの食事というと、どんなイメージがあるのでしょうか。
かの有名なレストランガイドの国なので、豪華でスタイリッシュなフルコース?
ワインの名産地なので、食卓にはいつも美味しいワインが出される?
その日の朝にマルシェ(市場)で買ってきた新鮮な食材を、時間をかけて料理したママン自慢の料理?
これらのイメージと現実とは、半分合っていて半分はちょっと違っています。
日本人が誤解しがちなフランス人の食生活
フランスでフランス人と暮らす筆者ですが、移住する前に思っていたフランス人の食生活は次のような感じ…。
◆◆◆ フランス移住前の「フランス人の食事イメージ」◆◆◆
● 朝はクロワッサンとカフェオレ
● 昼は街のカフェでおしゃれなランチ。鴨のコンフィとか?
● 夜は人を招いて賑やかディナー。フルコースでモリモリ食べる
結婚する前に、フランスの義家族とはバカンス中に長期間一緒に過ごしたことが何度かありました。
その時の印象がまさにこんな感じ。
アルプスの山荘に滞在してスローライフ&スローフードの優雅な日々だったのです。
でもそれはバカンスだったから!
後になって知りますが、日常のフランス人の食生活は特に贅沢でもないし、スローフードでもないのでした(笑)。
普段はみんな忙しいのです。
フランス人の食事、実はシンプル
多くの場合、フランス人家庭の普段の食事はいたってシンプル。
日本人ほど頻繁に食材の買い出しに行かないし、調理にも時間をかけません。
世界で一番夕食時間が長いのがフランス人、という話を聞いたことがあります。休みの日や休暇中は確かにそうかもしれません。でも、普段の日はそんなに長い時間をかけて食事をしているわけではなさそうです。
◆◆◆ 実際の様子はこんな感じ ◆◆◆
✔︎ ほとんどの家庭が共働きで忙しい
✔︎ 食事の支度にあまり時間をかけない
✔︎ 買い物はまとめ買いをする
ほとんどの家庭が共働き
「共働き」とあえて言うまでもなく、男性も女性も職業を持ってサラリエ(被雇用者)として働いている人が多いです。
子育て世代をサポートする仕組みがしっかりできているからかもしれません。
乳児期から託児所・保育園・ベビーシッターなど、他人の手を借りて子育てをするのが当たり前の社会です。
「母親ならこうすべき」といった社会的プレッシャーも少ないですし、積極的に子育てや家事をする男性も多いフランス。
そういう社会なので、「家でコトコトゆっくり煮物」は平日は無理なのです。
食事の支度にあまり時間をかけない
フランス人にはグルメなイメージがついて回りますが、家庭での食事の支度にはあまり時間をかけていません。
ゲストを招いて自宅でディナーというときでも、「すごく時間をかけて凝った料理をしている」様子はないですね。
煮込みやローストに野菜の付け合わせ、みたいなシンプルな料理が多いです。
▼ フランス人は料理をしない…。グルメな食文化のイメージから、普段の食生活もバラエティ豊かと思われがちなフランス人の食卓ですが、平日の食事は実にシンプルな家庭も多いようです。食事は人生を楽しむためのひとつの方法として捉えるフランス人の食生活とは?

食材はまとめ買いをする
「今日の晩ごはんのお買い物に行く」というカルチャー自体が存在しないフランス(日本でも毎日買い物に行く家庭は少なくなっていると思いますが…)。
食材はまとめ買いです。
新鮮な肉や魚、野菜や果物が並ぶマルシェ(露天市)はどこでも見かける風景。「この広場のマルシェは火曜日と土曜日」「あの広場のマルシェは金曜日」といった具合にたつ定期市はとても人気です。
大型スーパーでは、大きなカートいっぱいに食品や日用雑貨を積んで買い物をする人々も日常の風景。買い物リストを見ながら1週間分のまとめ買いをします。
フランスらしいなと思うのは、土曜日の午前中に子供達を引き連れて買い物に精を出すパパたちの姿。子連れの男性がおむつや生理用品もカートに入れて買っている姿を見ると、「なんかとっても自然な雰囲気でいいなあ」と思います。
▼ 美食で知られるフランスの人々の普段の食事や、意外と知られていない食卓マナー、キッチンの常識をご紹介します。

グルメなのにスリムな人が多い
「フランス人の食事は実はシンプル」といいながらも、農業国フランスでは新鮮でおいしい食材が揃います。地域ごとに特色ある食材や、素材を存分に活かした料理が受け継がれてきたお国がら。
小さい頃からおいしいものに囲まれて育ったフランス人は、やはりグルメです。
味の濃い肉類や豊富な魚介類、大地の恵みの野菜や果物。そして、そこから作られるチーズやバターなどの乳製品やお菓子やパン。さらには世界に誇るワイン。
フランスのグルメな特産物といえばカロリーの高いものばかりなのですが、なぜかフランス人にはスリムな人が多い!
観察していると、他の欧米諸国と比べてフランス人に肥満が少ない理由は、食事にあるのではと思います。
週末やバカンスでは、家族や友達と「楽しむ食事」は徹底的に楽しみ、普段は「肉や魚と野菜、そこにごく少量の炭水化物」という理にかなった食生活を送っている人が多いのです。
▼ 美食を愛しワインを愛するフランス人には意外とスリムな人が多い。人生を楽しみながら美味しく食べるメニューの代表例をご紹介します。

フランスらしい独特な食スタイル
ここからはフランスらしい独特な食のスタイルをご紹介していきます。
フランス人の朝ごはんとは?
「えっ、朝食に塩味のものを食べるの〜? 私は無理!」
これは、日本の朝食について話した時の義妹の反応。
朝は「軽く甘く」がお好みのフランス人。
ヨーロッパもイギリスやドイツ、北欧では「朝から卵やベーコン、チーズなんかもしっかり食べてガッツリと働こう!」という雰囲気なのですが、フランスはあくまでも「軽くサクッと」という感じ。
では、フランスの人たち、普段の朝ごはんは何を食べているのでしょうか。
バゲットをトーストして、バターやジャムを塗ったものとカフェオレや紅茶が一般的。子供たちには、シリアルに牛乳をかけたものとフルーツジュースが人気です。シリアルといっても、「チョコレートいっぱいの甘いものがいい」という子も多いです。
そして「ショコラ」と呼ぶインスタントココア(すごく甘い)が定番というご家庭も…。
日本人の想像するフランス人の朝ごはんといえば、大きなカフェボウルにたっぷりといれたカフェオレとクロワッサンではないでしょうか。
確かにカフェオレとクロワッサンは人気。でも、たぶん毎日は食べないのが一般的。すごく高カロリーですし、毎日クロワッサンではお財布も気になりますから。
週末の朝や、クリスマスの朝はクロワッサンもパンオショコラも人気です。
▼ お国が変われば朝ごはんも変わる。合理主義のフランス人ならではの朝の風景をご紹介します。

フランス人のランチとは?
ランチはサクッと、というのは万国共通。
フランスに来て一番驚いたのは、「お昼は家に帰って食べます」という人がけっこういるということ。
確かにお昼時の街では、焼きたてのバゲットを小脇に抱えて歩く人(男性が多い)をよく見かけます。
「ええーっ、面倒くさそう…」と思いがちですが、大したものを食べているわけではないようですよ。前夜の残り物とパンとチーズ、ハムとサラダとパン、みたいな簡単なもので済ませているみたいです(うちは、出勤したらランチは会社で)。
この自宅ランチが可能な背景には、外食代が高いという理由もありますが、昼休みを2時間取ってOKという企業が多いという理由もあります。
子供たちの学校も、11時半から13時半までは昼休み。
学校で食べる子もいれば、昼は親が迎えに来て家で食べる子もいます。
学校のランチですが、カフェテリア形式です。エコール・マターネルと呼ばれる3歳からの幼稚園でもカフェテリア(補助の職員がヘルプします)。
そして驚きなのは、幼稚園から「前菜→メイン料理と付け合わせとパン→チーズやヨーグルト(乳製品)→デザート」というちゃんとフルコースになっていることですね。
フランス人の晩ごはんとは?
普段の食事は、前述のように「シンプル」。
平日は特に、ささっと用意できるもので済まします。ゆっくり時間をかけて食事の支度をして、何品も用意したりしません。
出来合いのお惣菜や、冷凍食品、パスタなどもよく登場します。
塩胡椒を振ってグリルで焼いただけのお肉と付け合わせの野菜一品、というのが定番でしょうか。
レタスだけのサラダもよく出されます。ドレッシングは自家製で、ディジョンマスタードにビネガーとオリーブオイルというシンプルさが基本。
簡単な夕食ですが、ラディッシュ(洗っただけ)やアボカド(切っただけ)などが前菜として出された後にメインディッシュが続き、なんとなくコース仕立てになるのがフランス流。
そして、デザートとしてフルーツやヨーグルトでしめる、という感じ。
フランス人がこだわる「食」あれこれ
日本にも「日本人らしい食へのこだわり」があるように、フランスにも「フランス人らしい食へのこだわり」があるようです。
変わり映えしない同じような料理を淡々と繰り返すイギリス人なんかとは違って、フランス人も日本人も食べることに関してはとても貪欲なのが似ていますよね。
フランス人がこだわる「食」のあれこれ、いくつかご紹介しましょう。
▼ 意外と知られていない、フランスの「普通のごはん」。日本人から見ると「えっ、ウソ!」と言いたくなることもある、ちょっとびっくりするフランス庶民の献立をご紹介します。

アペリティフ
何かというと「アペリティフ」をするフランス人。食前酒の意味ですが、お酒だけではなくおつまみも出ます。「アペロ」とも呼ばれ、ちょっとした軽食パーティーとして人を呼びやすいので便利。
凝ったおつまみを出す人もいますが、たいていは「買ってきてお皿に入れただけ」のポテトチップスやナッツ、サラミやミニトマトが並びます。
公式パーティーや祝い事、それから親戚や友人たちがあつまる自宅ディナー(ディナーパーティー)では、必ずアペリティフが供されます。
自宅ディナー
親戚同士や友達カップル同士集まりたい時、たいていの人はレストランを選ばず「家でもてなす」ことを好みます。
日本のように、靴を脱いで家に上がるという文化でもなく、リビングやダイニングルームは「公の場」のようなもののフランスの家だからでしょうか。また、フランスのおもてなし料理自体がローストした肉と野菜の付け合わせ、みたいな細々とした手間がないものだからかもしれません。
クリスマスやイースターはもちろん、誕生日パーティーや洗礼式パーティーのような祝いの席も自宅に招いて行う家庭も少なくありません。
食事時間
フランス人は世界一食事時間が長い(*)のだそうで、これは実感としても「本当に長い」です。身内の思い出話で盛り上がる親戚一同の会や、夫の友人たちとの集まりでは「これは我慢大会か?」と感じるほど、延々と食事が続きます。
(*)参照:Statista Webサイトより
人が集まる時の食事をチャートにしてみますね。
友人たちのホームパーティー(招待時間は19時) | |
19:20くらい 〜 20:30 | 庭でアペリティフ |
20:30 〜 | ぼちぼち室内に移動 |
21:00 〜 21:30 | 前菜 |
21:30 〜 22:00 | メインディッシュ |
22:00 〜 22:30 | サラダとチーズ |
22:30 〜 23:00 | デザート |
23:00 〜 24:00 | リビングに移動してチョコレートやコーヒー&おしゃべりの続き |
24:00 〜 | お開き、しかし「じゃそろそろ」と立ち上がって15分、ドアの前で15分、門の前で15分…という具合におしゃべりが尽きない |
ウエディングパーティー(招待時間は19時) | |
19:20くらい 〜 21:00 | 庭園でアペリティフ、プロのケイタリング業者がさまざまなおつまみを持って会場を回る。ドリンクバーで飲み放題。 |
21:00 〜 | ぼちぼち室内に移動 |
21:30 〜 22:00 | 前菜 |
22:00 〜 22:30 | 家族・友人による新郎新婦の思い出紹介 |
22:30 〜 23:00 | メインディッシュ |
23:00 〜 23:30 | 友人有志による余興 |
23:30 〜 24:00 | デザート |
24:00 〜 01:00 | コーヒー・チョコレート |
〜 03:00 | デザート終了と同時に新婦と親父の父によるワルツ。その後DJが入ってダンスパーティー |
普段でも休前日や休日、バカンス中は長いですよ。20時開始で23時終わり、くらいが普通です。放っておくと延々と議論が続きますね。
コース仕立て
先にお話ししたように、たとえシンプルな食事でも「全部いっぺんに食卓に並べる」ことをしないフランス人。
まずは先に食べる前菜的なものがテーブルに運ばれます。これは、サラダやお惣菜だったり、スープだったりいろいろです。
次に、メインディッシュになるものが運ばれます。肉料理と付け合わせ野菜や、魚料理のこともあれば、タルトと呼ばれるキッシュ系のことも。
その後、グリーンサラダやチーズ、デザートと続きます。平日はチーズやワインは頂かないという人もいるでしょう。でも何かしらデザートは食べたいのがフランス人。
お客を招くディナー、子どもは別
自宅にお客を招いてのディナーや、招かれた時、子供は同席しません(親戚が泊まりにきたとか、子供も親しくしている友人の場合は別ですが…)。
どうするのかというと、ディナーをする家の子供たちは先に食事をしてお風呂に入り、大人が到着する頃には子供部屋で大人しく眠るわけです。
招かれた側は、ベビーシッターを雇って大人だけが外出するのです。
大人の世界と子供の世界をハッキリわける欧米の文化ですよね。
チーズはデザート
フランスでは普通、チーズはおつまみには登場しません。つまみではなく、食後に食べるものなんです。
お腹いっぱいの時にお盆いっぱいに数種類のチーズが出てくると、「えっ、胃袋に余裕ないよ」と思うのですが、みんなチーズ大好きなのです。
これは、メインディッシュの意外と量が多くないためでしょう。
例えばローストチキンがメインだったとしますよね。
大人数のディナーでは、一人に割り当てられる量は少なめで、チキンのもも肉半身とインゲンにサラダ少々。
あとから出てくるチーズとパンで「腹を合わせる」わけなのです。
一般家庭で出されるデザートも量的には大きくないので、チーズの段階で「ほぼ満腹」にしておきたいという心理があるのかも。
そして、ご想像通り、チーズの消費量はそうとうなものです。
赤身肉はソウルフード
農業国フランスでは、肉大好きという人が多いのですが、特に赤身肉が好まれるよう。
しばらく赤身の肉を食べていないと禁断症状が出る…などという人も。
赤身というと牛肉と羊になりますが、脂身のほとんどない「本当に赤い」肉がフランス人のタンパク質の主な摂取源。
日本人が好むサシが入ったものでなく、ガツンと分厚いステーキをレアで食べるのがフランス流ではないでしょうか。
ひき肉でさえ脂身は少なめです。
フランスと日本の食、ここが似ている!
ここまでフランス人の食事について、「日本人から見てビックリ」したことを中心にご紹介してきました。
最後に、フランスと日本の食事の似ている点もいくつか考えてみます。
はっきりとした主食がある
英語圏で生活していたころ、「この国の主食ってなんだろう?」と疑問に思うことがたびたびありました。
「えっ、欧米では食事と一緒にパンを食べるんじゃないの?」と思いませんか?
日本に戻ると、何人かの人にその質問をされました。
でも、イギリスでもカナダでも、そしてアメリカでも、べつに「ザ・主食」がおかずと一緒に出てきたりはしなかったんですよね。肉とカロリー高めな野菜か豆、みたいなパターンが多いのです。
フランスはその点、「主食はパン」と、すっきり言える気がします。
少なくとも晩ごはんには、必ずバゲットが登場する家庭がほとんどではないでしょうか。一生懸命作った和食を出しても、年配の人には「パンはないの?」と聞かれたりしますよ。
「フランス料理はうまいけど、やっぱりシメは家でお茶漬けだよなあ」という日本人のようでしょう?
▼ 日本とフランスの意外な共通点、それは「絶対無二の主食」の存在です。二つの国には、「毎日欠かせない、必ず食卓に必要な主食」があるのです!

家庭料理が美味しい
食いしん坊が多いのか、良い食材に恵まれているのか、日本もフランスも「おいしいものには目がない国」。
料理そのものが文化であり歴史でもあり、それぞれの料理が文化遺産。そのため、フランスも日本もどちらも家庭料理がおいしいと思います。
素材の持ち味を活かして、しっかりとおいしい食事を摂ろうという意欲が共通していますよね。
食材の旬を大切にする
日本人は食材の旬をとても大切にします。
フランス人も全く同じ!
フランス産のアスパラガスが市場やスーパーに並ぶと春を感じます。
みんな「ちょっと高くても地元の季節の味だから」とアスパラガスを買って、家族で味わうのです。
暑くなってくると、ズッキーニやパプリカの季節。
夏のバカンスが終わると、途端にきのこやかぼちゃ、かぶなどの体を温める野菜がたくさん並び始めるのです。
季節ごとの自然の恵みをみんなで味わう。日本とフランスの食の共通点です!
まとめ
フランス人の普段の食事、わりとシンプルですよね。
合理的である一方、意外と栄養バランスにも気を遣っていたりして。
簡単な献立で合っても、ちゃんとテーブルセットして、コース仕立てでいただくあたりは「さすがグルメの国!」というところです。
西洋的でありながら、一方で日本との強力な共通点もあるフランス人の食事。
センスの良い食材の取り合わせや、食を楽しむスタイル、ちょっと真似したくなりますよね。