イギリスに長期滞在する予定です。
イギリス生活経験者が、
「食べ物が本当に美味しくないよ」
と言うけど、本当なのかな?
こんにちは、イギリス大好きまのん(@ManonYoshino)です。
イギリスを旅行した人や、住んだことがある人が
素敵なところだけど、食事がまずい
と言うのを聞いたことがありませんか?
「イギリスはまずい」
これ、実は、世界共通の通説。
本当にそうなんでしょうか?
かの有名なイギリスのアフタヌーンティーの写真など見ていると、めちゃくちゃ美味しそうじゃないですか?
この記事では、
イギリスと日本の食事の違い
イギリスらしい食文化
についてご紹介していきます。
本当にイギリスの食事が美味しくないのかどうか、ちょっとのぞいてみてください!
目次
イギリスの食べ物は本当に美味しくないの?
イギリスの食べ物が美味しくないと言われ続ける理由
イギリスの一般家庭での食事はシンプルな場合が多いのは事実。
質素倹約の精神が受け継がれているというか…。
そして、イギリスって世界地図を見ればわかっていただけると思いますが、緯度が高いんです。
冬の日照時間がとても短い上に、年間を通して気温もそれほど高くなく、ヨーロッパの中では降雨日数が多いイギリス。
新鮮な野菜が年間を通して流通する日本とはちょっと違います。
ちょっと昔までは、野菜というとじゃがいもや人参、熟していないトマトにやたらと太いきゅうり、そして肉厚のキャベツや各種カボチャ系。
食卓に並ぶのは、それらの「いつでも売っている野菜」と、冷凍や缶詰の豆類が中心でした(今も変わっていないかもしれません)。
イギリスの食事が美味しくないと言われ続ける理由の一つが、シンプルで変化がないという点かもしれません。
外食をすると「ハズレ」に出会う確率が高かった事実
日本の外食は、その種類も価格帯もバラエティに富んでいますよね。
イギリスでは、今も昔も外食はとても高くつきます。
また、日本以上に「食事は家に帰って済ませる」という家庭が多かったイギリス。
そのため、外食産業があまり育たなかったという話を聞いたことがあります。
街を歩いていると、目立つレストランはインド料理、中華料理、イタリアンなどの、いわゆる外国料理。
「イギリス伝統料理」を看板にうたっているお店はあまりないんです。
チェーン店のステーキ屋さんなどは、イギリス風料理ではありますが、確かに美味しい店に当たったことはありません。
ちょっと前まで、外食をすると「ハズレ」に出会う確率が本当に高かったんです。
近年、お酒とお料理を楽しめるガストロパブやカフェが全国的に広がっていて、そこでは、イギリスらしくて美味しい料理を楽しむことができるようになりました。
でも、イギリス料理は長いこと「美味しくない、美味しくない」と言われ続けてきたため、それが世界の通説になってしまっているんですよね。
ちょっと残念です。
イギリスと日本の食事の違い
イギリスの食事は、必ずしも「マズくない」と思っている筆者。
それどころか、たまに無性に恋しくなるイギリス伝統料理もあります。
さて、ここからはイギリスと日本の違いを食べ物を通してみていきたいと思います。
イギリス大好きな筆者は、学生として生活したり、たびたび旅行したりして、
他の欧米諸国以上に、日本とは食生活に遠い隔たりがあるな
と感じてきました。
イギリスの食事って、日本とどのように違うのでしょうか。
イギリスの食卓はシンプル
今もって貴族階級があって、広大な邸宅に住んでいたりして、なんとなく全体的にエレガントなイメージがあるイギリス。
食卓もさぞおしゃれなんじゃないかと想像しませんか?
確かに、テーブルクロスをかけた食卓にナイフフォークが整然と並んだ様子はエレガント。
でも、庶民が毎日の食卓で食べるものはかなりシンプルです。
賑やかにお皿や小鉢が並ぶ日本の食卓とは全然違います。
ワンプレートでどーん、という感じですよ。
食にそれほどこだわりがない
イギリス人をみていて感じるのは、
「食に情熱を持たない人たちだな」
ということ。
手に入る食材を使って、食事を作って食べる…。
それ以上の食への努力はしない、という感じなんです。
日本人は、旬の食材や食品の鮮度にとてもこだわりますよね。
春夏秋冬、四季折々の野菜や果物に、季節の魚介類。
また、フランス人も食品の旬と産地にはとてもこだわります。
「ホワイトアスパラが市場に並んだ!春がきたね」とか、「夏が終わってキノコの季節が来た!」とか。
イギリスって、そういう食への情熱があまりない…。
食に快楽を求めていない
ゆず、かぼす、あさつき、しょうが、わさび…。
日本人は香りや薬味にもこだわって食事を用意する人が多いですよね。
各種のだし、醤油、みりん、酒、油などの調味料も数多く揃えているご家庭も多いかと思います。
なかには、醤油ひとつをとっても用途別に数種類、という場合も。
それから、食感も日本人の食事にはとても重要ですよね。
シャキシャキ、プリプリ、コリコリ、パリッ、ふんわり。
食を楽しむ重要な要素じゃないですか?
イギリス人は、日本人のようなこだわりを最初から持っていないように思います。
前出のフランス人は、同じ欧米人ですが、香りや食感にとてもこだわりを持っている人が多いですよ。
食にバラエティを求めていない
イギリス人家庭でホームステイをして、いちばんビックリしたのは
曜日ごとに夕食メニューがほぼ固定されている
ということでした。
ちなみに、こんな感じ…。
イギリス人の1週間の献立例 | ||
曜日 | メインプレート | デザート |
月 | スパゲッティ・ボロネーズ | カップ入りのヨーグルト |
火 | ご飯もの(炒飯とかカレー) | 桃の缶詰にエバミルクをかけたもの |
水 | シェパーズパイ+グリーンピース山盛り | アイスクリーム |
木 | ソーセージとマッシュポテト | ルバーブのコンポート |
金 | フィッシュ&チップス | トライフル(市販) |
土 | スコッチエッグ(市販)、マッシュポテト、グリーンピース | 桃のフール |
日 | ローストラム、カリフラワーのチーズグラタン、ちりめんキャベツ、グリーンピース | アップルパイ・ホットカスタードかけ |
なんとなくデザートのほうが美味しそう…。
多少の変更はありますが、曜日で決まっているので料理をする主婦(主夫)は負担が少ないでしょうね。
家事をしていて、「めんどくさいな」と思うことの一つが毎日の献立づくりですから…。
イギリスのような献立だと、買い物もまとめて週1回とかで十分ですね。
はっきりした主食がない
これはイギリスに限ったことではなくて、欧米の多くの国でも同様なんですが…。
イギリスでは、日本のように、はっきり「これが主食!」と呼べるものがありません。
朝食に食パンのトーストを食べ、昼にサンドイッチを食べる人は多いです。
でも、だからといって食パンが主食というわけでもなく…。
夕食や、休日の昼食には食パンは登場しないのが普通です。
代わりに、山盛りのポテトやグリーンピース、カリフラワーやカボチャ系野菜がついてくることが多いでしょう。
約1年イギリスで生活したあと、よくこう言いました。
「豆とじゃがいもは、もう一生分くらいイギリスで食べたから…」
強いていうなら、イギリスの主食はイモと豆、じゃないでしょうか。
朝ごはんはしっかり食べ…ない?
長いこと、イギリス人は朝ごはんをしっかり食べてよく働く、と言われてきました。
「イギリスの食事はイマイチだけど、朝ごはんだけは最高!」
これまでに出版されたイギリスの文化や生活に関する書籍には、よくこんなふうにイギリスの食生活が紹介されてきました。
確かに、イングリッシュブレックファースト(英国式朝食)と呼ばれる朝ごはんは、美味しいしボリュームも満点。
◆ イングリッシュブレックファーストの典型的な例 ◆
- フレッシュなフルーツジュースや、グレープフルーツ
- 紅茶かコーヒー(おかわり自由)
- トースト、バター、ジャム
- 温かい卵料理(目玉焼き、スクランブルエッグ、ポーチドエッグから選ぶ)、ソーセージ、ベーコン、マッシュルーム、焼きトマト
ただし、こんな立派な朝食を毎日食べている人がいるかというと、はなはだ疑問。
中級以上のホテルか、「おいしいイングリッシュブレックファースト出します!」を売り物にしているベッド&ブレックファースト(B&B)くらいじゃないでしょうか。
働いている世代や子供たちは、シリアルに牛乳をかけたものや、トースト程度でさっと済ませる人が多いようですよ。
イギリスらしい食文化
イギリスと日本の違いをいくつかご紹介したので、ここからは「いかにもイギリス!」という食文化についてふれていきたいと思います。
夕食は何という?
夕食を英語で何と言うでしょうか。
学校で習ったのは Dinner(ディナー)で、世界的に「夕食=ディナー」が一般的かと思います。
でも、そうとは限らないのがイギリスなんです。
これも、現地(田舎です)に住んでビックリしたことの一つです。
英語圏の国では、1日のメインの食事を「Dinner」と呼ぶことが多いです。
アメリカでもカナダでも夕食を普通に Dinner と呼んでいます。
ところが、イギリス家庭の夕食は、家庭や地方によって必ずしも Dinner ではないんですよ。
イギリス人家庭でホームステイしていた時、食事の呼び方を次のように分けていました。
● 普段の日の夕食は Supper(サパー)
● 日曜日のお昼は Dinner(ディナー)
● 日曜日の夕食は Tea (ティー)
ディナーと呼ぶのは日曜日のお昼だけだったんです。
サンデーロースト
前述の、ホームステイさせていただいたイギリス人家庭では、サパーと呼んでいた普段の夕食は、曜日ごとに決まったメニューのワンプレートディッシュ。
さほど手間がかからないであろう、冷凍食品や缶詰も使った簡単な料理です。
でも、日曜日のお昼はサンデーロースト。
丸鶏や子羊などを香草や詰め物と一緒にオーブンで焼いた(ローストした)「ごちそう」が出るんです。
ワインが食卓に供されるのも日曜のお昼。
デザートも、毎週、手作りのアップルパイなどが用意されていました。
ティーという名の食事
「ティーは6時からよ」
イギリス生活の始めは「へっ?」と思ったものです。
(なぜ夕方にお茶?晩ごはんは出ないの?)
その当時も、アフタヌーンティーや、ハイティーの存在は知っていました。
でも、「ティー」とだけ言われると、思い浮かぶのはミルクティーとビスケットくらい。
ところが、実際の「ティー」はそれだけではありませんでした。
日曜夜の「ティー」、お茶だけでなく、ちゃんとしっかり食事なんです。
テーブルに、甘いものと塩味のものが並べられ、ミルクティーと一緒にいただくパターン。
パウンドケーキやフルーツケーキ、数種類のサンドイッチやミートパイなど、好きなものを好きなだけ。
セルフサービスです。
夕方からの「ティー」に呼ばれる場合も、こんな感じ。
ちゃんとお腹がいっぱいになります。
これがいわゆる「ハイティー」というものなんですね。
イギリスのスイーツ事情
イギリスのスイーツってあまりイメージ湧かないかもしれませんよね。
イートンメスやトライフルは最近、日本でも知られるようになってきました。
そして、ホットカスタード。
これも、イギリスに住んでみて知ったビックリなんですが、甘くて温かいカスタードを、アップルパイやケーキにたっぷりかけるんですね。
最初は驚きましたが、今では「イギリスに行ったらまず食べたいデザート」になってしまいました。
ちょっと酸味の強いルバーブのタルトなんかに、あったかくて甘いカスタードがかかっているのは、とってもイギリスらしい味です。
アフタヌーンティーを楽しむ習慣?
イギリス人がみんな優雅にアフタヌーンティーを楽しむ習慣があるのか?というと、そんなことはないと思います。
ただ、3時のおやつ的にお茶とお菓子をいただくという人は多いでしょう。
何かというと、「お茶をいっぱいいかが?(Would you like a cup of tea?)」という国民性は今も変わっていないのではないでしょうか。
日本人が想像する、三段重ねのトレーに各種スイーツやスコーン、サンドイッチなどが供される、いわゆる「アフタヌーンティー」。
これを毎日楽しんでいる人はかなり少ないかなとは思います。
高級ホテルでのアフタヌーンティーは、日本と同様にかなりのお値段。
「お茶とデザートにこんなにお金を払うの?」
って思ってしまうくらい。
毎日食べにいくというようなものではないですね。
自宅に人を招待しての「お茶」の場合は、手作りのケーキやスコーンにサンドイッチも登場します。
インド料理・中華料理が多い
イギリスでは、どんな田舎町に行っても必ず1軒くらいは見つかるのがインド料理店と中華料理店。
旧植民地からの移民の人々が多いからなんでしょうね。
今でこそ、わりと味にこだわったレストランが増えてきているイギリスですが、一昔前は「外食=マズい」ことが多かったんです。
そういうとき、インド料理店と中華料理店に行けば、そこそこ美味しいものが食べられた、という記憶があります。
フィッシュバー
ちょっと場末なエリアに行くと必ずある、フィッシュバー。
これ、魚料理を食べさせるバーではありません。
テイクアウト(イギリスではテイクアウェイという)専門のフィッシュ&チップスの店です。
お腹が空いていると、つい油の匂いに誘われてしまいますが、安くて簡単で便利なファーストフードです。
魚のフライだけでなく、ソーセージなんかも売っていて、意外とハマります。
ガストロバブ
イギリスといえばパブ、と言うくらい、パブはイギリス人にとってなくてはならない存在。
ご近所のふれあいの場として、単なる酒場以上の意味合いさえあります。
ちょっと昔の日本の「碁会所」みたいな感じですが、元来パブでは食事はできませんでした。
お昼は食事メニューもありますが、夜はせいぜいポテトチップスくらいしかないんです。
それが、今までの普通のパブですが、最近ふえているのがガストロパブ。
美味しい食事が売り物です。
ガストロパブには、ちょっとクラシックなインテリアのおしゃれなお店も多く、美味しい食事とイギリスらしいビールも一緒に楽しめるので人気です。
イギリスの食事マナーはどんな感じ?
歴史と伝統の国イギリス。
食事のマナーもさぞや面倒で堅苦しいのでは…、と思いませんか?
イギリスの正式なテーブルマナーはさておき、普通にレストランで食事をしたり、家庭でご飯を食べるときは、どうなんでしょうか。
結論を言ってしまうと、
ごく一般的な欧米の食事マナーができていれば問題ない
ということです。
これは絶対NGだというポイントは次の8つ。
- 口の中に食べ物をいっぱいに入れたまま話す
- ピチャピチャ音をたてて食べる
- 熱い食べ物や飲み物を、フーフー音を出しながら息を吹きかけて冷ます
- テーブルで楊枝を使って歯の掃除をする
- ナイフをなめる
- みんなが席につかないうちに食べ始める
- お皿を持ち上げて口に近づけて食べる
- テーブルに肘をついて食べない
イギリス人、鼻をかむときには公衆の面前でも会議中でも大きな音を立ててブーッっとかみます。
でも、食事の時にカチャカチャ食器の音を立てたり、ズルズルピチャピチャ音を立てながら食べるのはとても嫌がります。
日本人が麺類を食べる時に音をたてるのも、イギリスではNGマナー。
周りの人が不快にならないよう、気持ちよく食事できるよう配慮するのが大切かと思います。
あとは、それほど堅苦しく気にすることはないかな、という感じですね。
まとめ
実はけっこう美味しいものがたくさんあるイギリス。
味や食感やバラエティにさほど拘らない人が多いのは事実ですが、昔からある伝統的な料理にも味わい深いものがあります。
そして、世界中からやってきた移民の人たちが伝えてきた国際色豊かな食卓も、イギリスの食事を楽しくしてくれます。
イギリスに滞在するなら、ぜひいろいろな料理に挑戦してみてください。
「いつかイギリスを懐かしく思う、癖になってしまうお気に入りの味」に出会えるかもしれませんよ!