フランスといえばワイン。
そして、フランスといえばチーズ。
フランスはグルメな国、というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
洗練された食文化を持ち、農業も盛んなフランス。
乳製品も豊富で、さまざまなお菓子も有名ですよね。
また、世界的に有名なレストランガイドに掲載される数々のレストランでは、ため息のでそうなデリケートなお料理を堪能することもできます。
それなら一般のフランス人もさぞかし毎日すばらしい食事を楽しんでいるんじゃないか?と想像してしまいますよね。
もちろん、そういうグルメな人もいるかもしれません。
でも、多くの「普通のフランス人」は、そんなに手の込んだ料理を毎日食べてはいないんです。
日本の家庭のほうが、ずっとずっと毎日手をかけた食事をしているのではと思います。フランス人の多くは、それほど料理に時間をかけてはいません。
彼らの食への関わり方を見てきて思うのは、「食事は人生を楽しむ一つの方法」ということ。
この記事では、
フランス人と料理
について、これまでフランスで観察してきたことをご紹介したいと思います。
目次
フランス人は料理をしないの?
これはどこの国でも同じことで、手間暇かけてお料理する人もいる一方で、できるだけ調理は簡単に済ませたいという人もいます。
ただ、夫婦ともにフルタイムで働く家庭が多いため、特に平日はあまり料理に時間をかけないという人が多いですね。
フランス人はグルメなのか
フランス人というと美食家というイメージがありますよね。
実際はどうなのかというと、
確かに美味しいものが好きな人が多いな
と思います。
だからといって、フランス人が毎日フォアグラを食べるわけではありません。
毎日の食卓は「手間をかけないもの」で済ませている家庭が多いのではないでしょうか。
出来合いのお惣菜も使うし、冷凍食品も使います。
でも、フランス人の食卓づくりで感心するのは、「食を楽しむアイディア」。
簡単なものでも、大皿に上手に盛り付けてゴージャスに。
出来合いのお惣菜を足して、夕食をちゃんとコース仕立てに。
あるものを最大限に演出するのが上手ですね。
▼ フランスの家庭では普段、どんな食事をしているのでしょうか。フランス庶民の献立とは?
料理をするフランス人
普段は手間をかけない食事をするフランス人も、週末や休暇はちゃんと時間をかけて料理する人が多いようです。
土曜日のディナーに、親しい友人たちと集まって賑やかに飲んで食べて議論を交わす。
日曜日のランチに、親戚や家族が集まって食事を楽しみ、午後はみんなで近所を散歩という風景も定番。
そういうときには、夏ならバーベキュー、冬ならかたまり肉のローストや煮込み料理が供されます。
休暇が長いフランス人。
そういうときにがぜん張り切る人もいます。
「休みの時はパパが料理担当」というご家庭もあり、料理が趣味という男性が腕をふるうんですよね。
こういう家庭と親戚の家などで一緒になると、かなりグレードの高いお料理のご相伴にあずかることも…。
「へー、初めて食べた。これおいしい!」と感心したお料理はいずれもこういったパパご飯です。
フランスと日本の「ごはんづくり」の違い
日本とフランスでは、毎日のごはんづくりの捉え方がちょっと違うように思います。
共稼ぎが多い上に、通勤時間も長い日本人ですが、ちゃんと料理している家庭も多いですよね。
買い物の頻度
自分が知っている限りですが、日本の家庭のほうが食材の買い物の頻度は高いです。
昔のように買い物かごを持って毎日おかずの買い出しに行く、という人は少なくなったかもしれませんが、それでも2〜3日に一度はスーパーに行くのでは?
それは家の中に食品をストックするスペースも少なく、生鮮食料品の消費期限が短いという理由もありますよね。
フランスの一般の家庭では食材の買い出しは、週に1回(もしくは途中ちょこっと買い足し)程度です。例えば、牛乳は常温保存可能なものがほとんどで、数ヶ月は保存ができるので1リットルボトルの半ダースパックで購入する家庭も多いです。
週末のスーパーでは、大きなカート山盛りに食材を買う人の姿が見られます。
朝ごはん
日本の朝ごはんといえば、特に子どものいる家庭では何かしら調理しますよね。
日本の朝ごはん(例) | |
和風 | アジの干物、納豆、おひたし、味噌汁、ごはん |
洋風 | 目玉焼き、ソーセージ、コーンスープ、トースト |
対して、フランスの朝ごはんは、とてもとても簡単。
フランスの朝ごはん(例) | |
シリアル派 | シリアル牛乳がけ、コーヒー |
パン派 | 焼いたバゲット、バター、紅茶 |
超軽い派 | 全粒粉ビスケット、コーヒー |
本当にこんな感じなんです。
クロワッサンとカフェオレ、というのは週末か、休暇中くらいです(たぶん)。
いかに手間をかけてないか、ですよね。
昼ごはん
子どもたちは、学校のカフェテリア。
会社で働く大人は、会社のカフェテリアか、同僚たちと近所のレストランで定食。
お昼に家に戻って食べる人も多く、バゲットとトマトやハムなどで簡単に済ませます。
家で働く人は、本当にありあわせのもの。
ね、簡単でしょ。
たまに遠足などで子どもの「お弁当」が必要な時もありますが、みなさん判で押したように簡単なものです。
遠足のお弁当(定番) | |
朝準備する派 | バゲットサンド(バター、ハム、チーズ)、ポテトチップス小袋、リンゴのコンポート(パウチタイプ) |
前の日の残り派(例) | 前日作ったクスクスサラダ、りんご |
夕ごはん
夕ごはんも普段はそんなに時間をかけないのが基本。
メインは、牛サーロインのステーキにサラダを添えたもの、など焼くだけで出来る料理が多いかもしれません。
日本のように細かくいろいろ副菜を用意するとかはしないですね。
でも、コース仕立てにするご家庭が多いと思います。
前菜: アボカド(切っただけ、塩こしょう)
メイン:骨つき仔羊肉(スーパーで買って、塩こしょうにエルブドプロバンスをぱらっとかけて、オリーブオイルで焼く)& グリーンサラダ
チーズ:バゲットとカマンベールチーズ
デザート:フルーツヨーグルト(市販)
中身を見ると、本当に大したものは何もなく、「買ってきて焼いて食べるだけ」なんですが、盛り付けがおしゃれだったり、サラダドレッシングは手作りだったりと、食を楽しむフランス人らしさが出ています。
▼ 美食で知られる人々の普段の食事や、意外と知られていない食卓マナー、キッチンの常識についてさらに詳しくはこちらから!
人生を楽しむフランス人の食事作り哲学
フランスの人たちの食事作りを見ていると、そこに人生哲学のようなものを感じます。
食事は、人生を楽しむ一つの方法であり、
食事の準備のために人生の楽しみを犠牲にはしない
例えば、子どものお弁当作りのために、朝5時から起きて煮炊きをするなどという考えは絶対にありえないこと。
当然キャラ弁などというものは存在しません。
でも、日本式のお弁当、じわじわと人気が出てきていますよね。
時間は人生を楽しむためにつかう
長期の休みの時には義実家の山荘に滞在するんですが、「ちゃんと美味しいものをしっかり料理して楽しみたい」」私は、昼からディナーの仕込みを始めることが多いんです。
大したものを作るわけでなくても、大人数の食事なので煮込みを早めに作ったり、材料だけでも切っておこうと作業をします。
たいてい昼食の準備と同時進行でディナーの準備も始めるんですが、フランス側の親族やゲストには「超過酷な労働」に見えるらしいんですね(笑)。
「そんなに働きすぎたら疲れて楽しめないじゃない💦」と。
いっぽう、フランス側親族にまかせておくとディナーは9時を回ってからになります(胃に悪い)。
それは、まず7時くらいから食前酒をゆっくり楽しんで、みんなでワイワイおしゃべべりしてから、ディナーの準備を始めるからです。
しかも食前酒の時に、クラッカーやポテトチップスなどの糖質系をがっつり食べてるんですね(お腹空いてるのよね)。
そして、ささっと焼くだけディナーを準備して、これまたコース仕立てでゆっくりゆっくり、にぎやかに議論しながら食事をします。
こういう休暇時の夕食は終わると深夜になることも多い…。
調理は最小限でいい
「調理は最小限でいい」というのもフランス流かなと思います。
(いや、イギリスも同じですね…)
かたまり肉に塩こしょうして、くず野菜と一緒にオーブンに入れて焼く。
フライパンにバターを溶かして、ステーキ肉を焼く。
あとは、茹でるだけのじゃがいもや、いんげんを添える。
デザートのケーキなどは、大抵の家で手作りなんですが、これもとても作り方はおおらか。
日本人はケーキを焼くときには、きめ細かに材料を計量し、調理道具も水滴ひとつついていない状態にするなど神経を使いますよね。
フランス人は、そんなことはしません。
粉類の計量なんて、市販のヨーグルトカップでざっくりです。
でも、けっこうちゃんと焼きあがるんですよ。
フランス人の料理ぶりを見ていると、なんだか肩の力が抜けていく思いがしますね。
まとめ
フランス人は料理をしないのか?
決してそんなことはありません。
でも、毎日家族の食事の支度に時間をかけている人は少ないでしょう。
料理上手な人も多いし、週末や来客時には手間をかけてごちそうを作る人も多いです。
料理のために毎日大きな労力をかけたくないという考え。
食材の買い出しの時間も、キッチンに立つ時間も、合理的にメリハリをつけるのがフランス流。
時間は人生を楽しむものに使う、という徹底した考え方なんですね。