フランスといえばバカンス、というくらい休みが多いですよね。
「あ〜、これってよくバカンスで起こるよね〜笑」みたいな話がたくさんありそう!
国民全員が休暇大好きなフランス人の「バカンスあるある」とは?
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
フランス人である夫とつきあっていたころ、休暇のことで意見が合わない…ということがたびたびありました。
夏休みや年末年始に旅行しようとすると、必ず「行ける日数」が問題に…。
日本人は、どんな企業で働いていたとしても、遊びのために3週間連続休暇を取るのは難しいもの。
一方、フランス人は、夏休みに4週間、さらに年末2週間など、しっかり長期で休みます。
フランスでは、本当に「まとまった休暇」を取るのが普通。
企業で働く人だけでなく、自営業の人も数週間単位で休んでバカンスにでかけるんです。
みんなが休み、みんなが一気に移動する、フランスのバカンス。
楽しいだけでなく、もちろん大小いろんなハプニングも発生します。
そんな、フランス人が大好きな「バカンス」で、よく起こりがちなことをまとめてみました。
この記事では
フランス人のバカンスあるある10選
についてご紹介します。
フランス人のバカンス生活、のぞいてみませんか?
目次
バカンスあるある1. バカンスは年間計画の重要案件
「フランス人はバカンスのために働く」
これ、本当だなと思います。
もちろん、働くのは暮らしを維持するためでもあります。
でも、
人生を楽しむことを誰にも邪魔させない
というスタンスこそフランス人。
だから、職業を問わず毎年のバカンス計画には真剣です。
バカンスだけは計画性を発揮するフランス人
年がら年中バカンスの心配をしているのがフランス人。
あまり先を先を計画しない楽天的なフランス人たちも、バカンスだけは入念にプランを組むようです。
9月が新学期のフランスですが、この時点で翌夏までのバカンス計画が立っている家庭も(と、いうよりほとんどの家庭?)。
夏のバカンスが終わったばかりなのに、用意周到です。
というのは、子どもたちの学校休暇が1年に何度もあるため。
保護者や管理できる大人がいない家で、子どもだけで留守番させることをよしとしないフランスでは学校休暇中の子どもの世話をどうするかに悩むことに…。
親が休暇をとって一緒に過ごすか、祖父母の家に預けるか、リクリエーションセンターの学童プログラムに参加させるかなど、いくつかのオプションがあります。
また、学校休暇の時期は短期滞在用のアパートやホテルが混み合うため、早めの予約が必須でもあるんですよね。
いずれも早めに計画して予約をしないといけないわけです。
老若男女だれでもがバカンスをちゃんと取る国フランス
フランスでは、子どもから高齢者まで、みんながきちんとまとまった休みをとります。
学生や会社員だけが「休暇」をとって休むわけではないんです。
失業中でも、子育て中で家にいる人でも、引退した高齢者でも、みんなバカンスはバカンス。
日常生活のリズムを「休む」わけです。
たとえば、日本なら、
「休むとそれだけ売り上げが減るから…」
なんて言いがちな個人経営の商店や飲食店。
フランスの場合は、どんな小さなお店でもきちんとまとまった休みをとるようです。
会社員がまとまった休暇を取るのは、たいてい夏と冬の2回。
さらに、子供たちの学校休暇に合わせて年に何度か週単位で休む人も多いです。
医師も、もちろんきっちり休暇を取るので、かかりつけ医が8月まるまる不在というのもよくある話。
そういうときに限って病気になって、代診の先生にお世話になることに…。
個人商店や飲食店の場合、バカンスのピーク期をずらして休む場合も。
定年退職した人たちも、混雑時期をはずしてバカンス、というケースが多いようですね。
▼ フランス人はなぜ長期で休めるのか?休暇のための費用はどうしているのか?気になる方はこちらもどうぞ!
▼ バカンス好きフランス人、「普通の人々」はいったい何をして長い休みを過ごすのでしょうか。
バカンスあるある2. 子どもの休みがとても多い
先にご紹介したように、フランスの学校は休みがとても多いです。
生活している感覚からすると、休みの合間に勉強しているように感じるくらいに…。
フランスの学校休暇はいつ?
Vacances Scolaires(バカンス・スコレール)と呼ばれる、子どもたち(幼稚園から大学・グランゼコールまで)の学校休暇。
外国映画などで見るように、「たくさん休みがあるんだろうなあ」と想像されると思います。
たぶん想像以上の多さじゃないでしょうか。
ざっくり計算すると学校休暇の合計は年間16週間以上。
すごいですよね。
フランスの学校休暇 | ||
休暇名 | 時期 | 期間 |
トゥーサン休暇 | 10月下旬から11月上旬 | 2週間 |
クリスマス休暇 | 12月下旬から1月1日 | 2週間 |
冬休み | 2月から3月初旬(ゾーンごと) | 2週間 |
春休み | 4月(ゾーンごと) | 2週間 |
夏休み | 7月・8月 | 8週間 |
ゾーンごとに学校休暇がずれる?
フランスの学校休暇、冬休みと春休みは「ゾーン」別に1週間ずつずらして実施されます。
ゾーンとは、リージョン(地域圏)を3つのグループに分けたものになります。
学校休暇のゾーン | |
ゾーンA | ブザンソン、ボルドー、クレルモン-フェラン、ディジョン、グルノーブル、リモージュ、リヨン、ポワティエなど |
ゾーンB | マルセイユ、アミアン、リール、ナンシー、ナント、ニース、ノルマンディー、オルレアン、レンヌ、ストラスブールなど |
ゾーンC | パリ、モンペリエ、トゥルーズ、ヴェルサイユなど |
例えば、ある年の冬休みと春休みは、ゾーンAが一番先で、次にB、そしてCという順番だったとします。
次の年はB→C→Aという順番に。
さらにその翌年は、C→A→Bという順番になるわけです。
こうやって順番がぐるぐる回ることで
「うちらのバカンス時期はいつも雪が溶け始めてる〜💢!」
「おらたちのバカンス時期はいつもイースターの三連休とぶつかる。余分に休めなくてソン!」
といった不公平がなくなるわけですね。
さらに、ゾーンごとにずらすことで、交通機関の混雑を緩和し、観光地もより長い期間観光客を迎えられるというメリットがあります。
この学校休暇、市販のカレンダーにもゾーンごとの休暇が記載されます。
学校休暇、保護者はどうする?
「ああ、またバカンスだ…。子どもをどこにあずけよう」
と、カレンダーをみて悩む保護者たち。
普段の通学でも、10歳までは保護者かそれに変わる大人の送迎が必要なフランス。
(校門に学校の職員が立っていて、保護者の出入りと児童の出入りを入念にチェックしています。)
休暇中も、子どもだけで終日留守番、という家庭は少ないかもしれません。
厳密な法律での規制はないようですが、10歳未満の子どもだけを家に置いて長時間留守にすることには慎重な保護者が多いよう。
なので、しょっちゅうある学校休暇は、保護者の悩みのタネでもあります。
2週間の休暇の半分は、両親のどちらかが休暇をとって一緒に過ごし、もう半分は祖父母の家に連れていく、などがよくあるパターン。
あとは、自治体や民間団体主催の「コロニー(合宿)」に子どもを送り込むことも多いですね。
休み中の宿題や家庭学習は?
学校休暇は子どもたちにとってのバカンス。
その期間にみずから進んで勉強をする、という家庭は少ないようです。
宿題も「バカンスだから」という理由で出ないのが一般的ですが、学校や教科によっては読書感想文などの課題が出されることも。
フランスに住む日仏家庭や駐在員家庭では、
「休暇中は、遅れている日本の教科書学習を進めるチャンス!」
ということで、日本式にバシバシ勉強させているご家庭もあります。
休み中の生活指導はどうなる?
これも、もちろんありません。
日本とはまったく違うので、学校の中でも外でも教員が子どもたちの生活指導をすることはほとんどないフランス。
日本の学校では、細かいところまで学校で生活の指導をしてくれますよね。
- 休み時間はトイレを済ませておきましょう。
- トイレの後は石鹸で手を洗いましょう。
- 給食の前には石鹸で手を洗いましょう。
- 給食を食べたら歯磨きをしましょう。
- 下校時はきちんと並んで、交通ルールを守りましょう。
- 冬休み中も朝寝坊をせず規則正しい生活をしましょう。
これら、日本では当たり前に指導がありますが、フランスではまずありません。
そもそも、学校で交通ルールの指導とか、衛生習慣の指導とか、全然ないですね(あったほうがありがたいです)。
▼ フランスの小学校は、日本の小学校とどんなところが違うのでしょうか。日本とは違うフランスの小学校の常識や設備 、そして保護者の学校との関わり合いを観察してみました。
バカンスあるある3. 移動が集中する
冬休みと春休みは全国を3ゾーンに分けて、1週間ずつずらして学校休暇が開始されます。
それでも、バカンス初日にあたる土曜日は、移動が集中しがち。
全国一斉にスタートする10月のトゥーサン休暇と12月のクリスマス休暇の初日は特に混雑します。
高速道路の渋滞
休暇が長いため、短期貸しのアパートで過ごす人が多いフランス。
このアパートのレンタル期間、土曜日の午後チェックインで翌週の土曜日午前チェックアウト、というパターン。
そのため、バカンス初日の土曜日は高速道路が渋滞します。
特に、クリスマス休暇の初日と、7月最後の土曜日は渋滞予測が「黒(大変混雑)」となり、大渋滞になることも。
フランス人の車好きは有名ですが、それだけが理由ではありません。
採算効率重視で、鉄道網が縮小されて不便なフランス。
車なら2時間なのに、電車だと5時間かかってしまう…なんていうことも。
そのため、家族での移動は車でという人が多いんです。
サービスエリアの混雑
高速道路が渋滞ということは、もちろんサービスエリアも混雑します。
特に、女性トイレは長蛇の列に…。
日本と比べて、公共のトイレの絶対数がかなり少ないフランス。
サービスエリアのトイレも同様に、日本よりずっと少ないため、かなり待つことになります。
▼ フランスを旅行すると気づく、トイレの不便さ。快適なフランス旅のために知っておきたいトイレ知識はこちらから!
太陽と「外」が大好きなフランス人は、何かというと青空の下でのピクニックをします。
移動中も、ピクニック。
サービスエリアやパーキングエリアに設置されているピクニックテーブルに、テーブルクロスをかけて食事を楽しむ姿が…。
スーパーで買った惣菜サラダやハム、チーズなどとバゲットでピクニック。
でも、バカンス初日と最終日のサービスエリアは、ピクニックするにも激混み!
家族全員が車の周りに立ったまま、バゲットにハムとチーズをはさんだ即席サンドイッチをほおばる姿もあちこちで見かけます。
バカンスあるある4. バカンス開始に合わせたスト
年がら年中、何かというとストやデモをしているフランス人。
バカンス開始初日は、交通ストにはうってつけ(嫌な言い方ですけど)。
鉄道やバス、航空機で移動する人が一気に増えるため、ここでストをされると利用客も困りますが、会社側も困りますよね。
効果的に労働組合側の言い分を通すことができるというわけです。
特によく行われるのが、国鉄長距離路線と航空関連のスト。
航空関連は、管制官のストだったり、保安検査官のストだったり、いろいろおきますね。
特に多いのが、トゥーサン休暇の初日とクリスマス休暇開始の数日間。
本当に困ります。
バカンスあるある5. 大荷物で移動
休暇に向かう高速道路で、同じ方面に向かう車の荷物の量に驚くことが多いです。
車内パンパン状態。
しかも、整理されて積まれているのではなく、思いつくままに詰め込んだのが見え見え。
窓ガラス越しに枕や靴、食品、毛布、などバラバラにぎゅーっと押し込んだという感じで笑えます。
これ、休暇の長いヨーロッパだからでしょうか。
別荘(親が残した田舎の家や、海や山の別荘)に滞在したり、短期貸しのアパートで「生活しながら休暇」を取るため荷物が多くなるんですね。
実際に、うちも山荘に出かけるときには、シーツやタオルなどのリネン類や大量の食料を積み込みます。
バカンスあるある6. 長期滞在型バカンス
日本で「休みに出かけよう」というとき、数日間というパターンが多いのではないでしょうか。
温泉に2泊とか、高原のホテルで2〜3泊とか。
しかも、どちらかというと上げ膳据え膳の旅が多いですよね。
フランスのバカンスは長いです。
だから長期滞在型。
例えば、毎年夏は、1ヶ月間を海の近くに買った別荘で過ごす…みたいな。
普段の暮らしを置いて、別の場所で「日常を忘れた日々」を送るのがフランス式バカンス。
贅沢をしにいくわけではないんです。
だから、当然、自分達で掃除もするし、食事の支度や洗濯もします。
バカンスあるある7. 別荘でトラブル
日本で別荘というと、一部の富裕層だけの贅沢といったイメージがありますよね。
でも、フランスでは自宅とは離れた場所に休暇用の家やアパートを持っている人はわりと珍しくありません。
「別荘で過ごすバカンス」は、特にお金持ちだけの特権、というわけではないんです。
フランス人は「メゾン・ド・カンパーニュ(田舎の家)」が大好き。
祖父母が持っていた古い家や、田舎の古い農家などを買って、自分達でリフォームしながら別荘として使うんです。
でも、普段住んでいない家だと、思わぬトラブルも発生します。
渋滞の中、長時間運転してようやく辿り着いた別荘。
水漏れが発生していた…。
冷蔵庫が壊れていた…。
ネズミが家の中を荒らした形跡があった…。
水道管が凍結して破裂していて水もお湯も使えない…。
などなど、家が老朽化するに従ってトラブル発生の頻度も高くなってきます。
バカンスの最初の数日を別荘のメンテナンスで費やす…、そんなこともフランスのバカンスではよくある話でしょう。
バカンスあるある8. 季節ごとに集中する人気の行き先
それほど冬が厳しいわけでもないフランスですが、太陽を求めるその姿は北欧のメンタリティに似ているように思います。
とにかく、夏は太陽。
人気の休暇先はもちろんビーチ。
砂浜のビーチが徒歩圏内という短期貸しのアパートは、早くから予約でいっぱいに…。
そして、散歩が大好きなフランス人には、夏の山岳地帯も人気の休暇先です。
のんびり滞在して、山や森の散歩を楽しむわけです。
冬は雪。
クリスマス休暇や2月の冬休み時期は、ウィンタースポーツを楽しむために雪山に繰り出す人が多くなります。
スキー・スノーボード・スノーシューのトレッキングなどが相変わらずの人気で、バカンス初日や最終日は高速道路もかなり渋滞しますよ。
バカンスあるある9. 親戚・友人宅をフル活用
なにしろ休みが長いので、家族でホテル滞在型の旅行をするのは大変。
よくあるのが、親戚や友達の家に滞在するパターン。
これは、「お客」としていくというだけでなく、別荘を持つ人から借り受けるというケースも多いようです。
例えば、親世代が購入した別荘を、子世代家族が順番で使うという感じ。
直系の親族だけでなく、おじやおば、いとこやはとこなど、フランス人って、とにかく親戚付き合いが濃いんですよね。
そのため、お互いに泊めたり泊めてもらったりということも多いんです。
寝室がいくつもあり、浴室も複数ある…、なんていう広い家だと人を泊めやすいということもあるかもしれません。
プール付きの家だと、「泊めて〜」のリクエストも多いそうです。
▼ フランス生活で見えてくる、いかにもフランスらしい普段の暮らしの「あるある」はこちらからどうぞ!
バカンスあるある10. 大人数で合宿状態
ビーチ近くの別荘や、スキー場近くの別荘だと、バカンス時期には大人数で滞在というケースもおこりがち。
便利で安く滞在できる別荘を持っていると、親戚や友人から
「使わせてくれない?」
という問い合わせも入ります。
人にもよりますが、大勢で賑やかに過ごすのが大好き!という人が多いフランス人なので割と気軽に宿を提供するんですよね。
いわゆる雑魚寝でもかまわないから、本来の楽しみ(ビーチやウィンタースポーツ)のためなら、多少の不便は厭わないという感じ。
若者だけでなく、高齢者も同じです。
▼ 観光旅行ではなかなか見えてこない、ディープなフランスの日常の良いところを集めた記事はこちらから!
まとめ
フランス人のバカンスでよく起こりがちな「あるある」をあげてみました。
休む期間が長いから、年に複数回休む人が多いから、日本では想像できないバカンスがらみのハプニングが起こります。
多少不便でも、面倒なことがあってもバカンスを楽しむことを諦めないフランス人。
おおらかに、我慢強く人生を遊ぶ達人たちなのかもしれませんね。