フランスで暮らすって、
意外に大変…。
ほかの日本人のみんなはどうなんだろう?
こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
生活してみると、想像していたよりもずっと
うまくいかないことが多いフランス。
なかなか馴染めなくて苦労する人も少なくないようです。
なにをかくそう筆者も、その一人。
フランス生活を始めたばかりは、
「えー、こんなはずじゃなかった!
辛すぎる〜!
フランス生活、大変すぎ…」
と感じてしまう人も。
でも安心してください。
フランス生活は、コツさえつかめてしまえば、けっこうラクになります。
大丈夫!
この記事では、
日本人が感じがちなフランス生活の「大変」さ
フランス生活を楽しむコツ
をご案内していきます。
*「今、まさに大変。フランス生活を楽しむコツを、とにかく知りたい」という場合は、こちらからコツ編に飛べます。
目次
フランス生活は大変?
フランスといえば…。
優美な歴史的建造物が立ち並ぶ街並み
世界のモードの発信地
美味しいものいっぱいの美食の国
自然豊かで風光明媚
ラテン的で明るい人びとが住む国
いつの時代も「日本人が訪れたい国」の一つですよね。
フランスに住んでいるというと、
「いいなあ」
「行ってみたいなあ」
とよく言われます。
ところが、フランス生活を経験した日本人の多くが、
「フランスで暮らすのはけっこう大変だ!」
という感想を持つようです。
フランス生活に馴染めない人たち
フランスに憧れて、フランス文化が大好きで、フランスにやってきた人たち。
その形は、留学であったり、ワーキングホリデーであったり、さまざまです。
若い時からフランスでの暮らしを目指してきた人たちの多くは、それぞれのライフスタイルを作り上げて楽しく生活しているかもしれません。
いっぽう、駐在や国際結婚などの(どちらかといえば)受動的な理由でフランスで生活するようになった人たち。
こちらの人たちの中には、フランス生活をとても大変に感じる人が少なくありません。
私も「フランス、大変すぎ〜」と感じた一人です。
英語圏で数年を暮らし、東京でも独身会社員ライフを満喫していたので、フランス移住当初は「目から鱗の大変さ」でした(笑)。
何がそんなに大変?
「何が大変なのか」ざっくりいうと、多くの人が感じるトップ5は次のポイントでしょう。
① フランス語をマスターするのがけっこう大変
② 日本と比べて何かと手間がかかる(手続きなど)
③ フランス人の常識に馴染めない
④ 英語圏より「文化的な違い」が大きい
⑤ 無力感を味わうことが多い
次項で詳しくみていきたいと思います。
フランスで日本人が苦労すること
外から見るより、意外と複雑な社会や文化を持つフランス。
エッフェル塔やシャンゼリゼ通りの高級ショップだけがフランスじゃないんですよ。
フランス生活、けっこう苦労する日本人は少なくないと思います。
さきに、フランス生活の大変さトップ5をあげました。
① フランス語をマスターするのがけっこう大変 ⇨ 言葉の壁
② 日本と比べて何かと手間がかかる(手続きなど)⇨ 社会インフラの違い
③ フランス人の常識に馴染めない ⇨ 常識の違い
④ 英語圏より「文化的な違い」が大きい ⇨ 文化の違い
⑤ 無力感を味わうことが多い ⇨ 自己評価の維持が難しい
それらのほかにも、生活習慣の違いや日本との距離などでも、「フランス生活って大変…」と感じることがあります。
ここからご紹介していく、フランスで多くの日本人が苦労することには7つのポイントがあります。
1)言葉の壁
2)社会インフラと感覚の違い
3)常識の違い
4)文化の違い
5)自己評価の維持
6)生活習慣の違い
7)日本との距離
詳しくみていきます。
1)言葉の壁
多くの日本人にとって、英語よりフランス語の方が習得が大変なのでは?と思います。
それは、単なる言語の難易度ではないような感じ。
親しみやすさや使いやすさの違いかなと、個人的には感じています。
英語は日本人になじみがある言葉!
英語は、日本の生活の中にもけっこう登場する、馴染みのある外国語ですよね。
小さい頃から英語教室に通っているお子さんも多いし、学校教育の中でも日本人の第一外国語として扱われています。
アメリカやイギリスの音楽や映画も、とても身近な存在。
学校での必須教科なので、イヤというほど英語の授業がありましたよね。
さらに、大学受験を経験した人なら、うんざりするほど単語を暗記した経験があるのでは?
無意識のうちに、私たち日本人の中の頭の中には「英語」という言語が刻み込まれているんですよね。
フランス語はやはり「遠い言葉」
それに比べるとフランス語は、遠い言語。
第二外国語で選択したけれど、「めっちゃ難しくて苦労した」という人も多いのではないでしょうか。
なにより、発音が難しいですよね。
文法も複雑。
さらに、単語のジェンダーや冠詞の使い方も日本人には辛いものがあります。
しかも、フランス人は外国人の「なんちゃってフランス語」には厳しいんですよね。
ちゃんと発音しないと理解してもらえないし。
英語のように、世界中で使われていて「なんちゃってブロークン英語」でも許されてしまう言語とは違うんですよね。
2)社会インフラと感覚の違い
主要先進国のひとつ、フランス。
電気や水道などのライフラインはもちろん、社会生活に必要な公共施設や鉄道、道路網などはきちんと整備されています。
でも、やっぱりちょっと日本と感覚が違うんですよね。
地下鉄やバス、鉄道など遅延も多いし、ストによる運休もあります。
特に国営の中長距離の鉄道は、TGVの走る路線を除いて利便性が良いとはいえません。
車で2時間の距離なのに、電車で行くと倍の時間がかかる…ということも珍しくないです。
県庁、社会保険事務所などでの、手続きもなかなか大変。
外国人にはとても大切な、滞在許可証の申請や更新は一大イベントとも言えます。
手続きに時間がかかる上、問い合わせしても「なしのつぶて」なんてことも実はザラに起きることです…。
いろんな手続きでヤキモキさせられることが、とっても多い気がします。
3)常識の違い
「欧米の人は謝らない」と、聞いたことがあるかもしれませんね。
普段の生活の中では、そんなに我の強い人ばかりではなく、全体的に社交的で親切な人が多いフランス。
でも、ちょっとしたミスは、「あら、自分のせいじゃないわ」と軽くあしらわれがち。
物を落としてしまった時でも、「落としちゃった」ではなく「落ちちゃった」。
感覚の違いですね。
そして、けっこうアバウトな人が多いです。
約束の時間に遅れても、そんなに気にしないし、相手も全然気にしていない。
業者とアポを取っても、なんの連絡もないまま「すっぽかし」ということもわりとあります。
仕事を受けたら、責任を持ってきちんと納期を守りつつクオリティにも最大限の努力をするという日本の業者とは、若干違います。
なにごとにもおおらか(悪い意味でも、いい意味でも)なのがフランス人。
この、アバウトさに慣れるまでは「フランス生活って大変…」と感じるかもしれません。
4)文化の違い
外国なんだから文化が違って当たり前ですよね。
そんなの、海外生活を選んだ時点で覚悟しているはず…。
とはいえ、やはり慣れるまでは文化の違いに戸惑うこともあります。
フランス人と国際結婚をした人で、「義家族との関係」に頭を悩ませる人は少なくありません。
外国人と結婚したって、嫁姑問題はあります。
カソリックの多いフランスでは家族や親戚の関係が濃密な家庭が多く、日本人嫁にはストレスの元になったりしますね。
休暇が多くて長いので、義家族と一緒に過ごす時間が長いという場合も。義実家に数週間ステイとか、別荘でずっと義家族と一緒とか。
「いとこ」や「またいとこ」などとのつながりが深く、しょっちゅう何らかの集まりがあるという家もあります。
さらに、夫婦のありかたについても、日本とフランスでは違いますね。
フランスでは、結婚しても、子供が産まれても、カップルはカップル。
いくつになっても男と女です。
子供が産まれたからと言ってお互いを「パパ」「ママ」なんて絶対呼んだりしません。
幼児を祖父母やベビーシッターに預けてデートに出かけるなんて、ごく普通のことです。
5)自己評価の維持(無力感の原因)
フランスに移り住んだ日本人のなかには、「無力感にさいなまれる」という人も少なくありません。
英語がほとんど通じないフランスでは、フランス語を習得するしかないんですが、これが適当なフランス語だと理解してもらえないことも多いんですよ。
フランス語は音に厳しい言語。
間違った発音では通用しないんですよね。
まずこれが「無力感」の第一の原因。
また、日本で社会人として暮らしていた人がフランスに移住すると、キャリア面でのジレンマを感じることも。
フランスは超学歴社会。
日本から移住してきて、途中からフランスでキャリア形成を始めるのは結構大変です。
すでにある程度のキャリアを築いていた人だと、「フランスでは自分は無力」と感じてしまいがち。
ストレスで心のバランスを崩してしまう場合だってあるようです。
6)生活習慣の違い
文化の違いの一つかもしれませんが、フランスと日本、生活習慣の違いが英語圏より強いかも…と思います。
最も顕著にあらわれる例が「食」ではないでしょうか。
日本もフランスも、両国とも美食の国です。
美味しいものがたくさんありますよね。
人々が好んで食べるものが違うのは当然のことですが、決定的なのは食事の取り方の違いです。
フランス人は、普段のシンプルな食卓でも「コース仕立て」にするのが好きです。前菜、メイン、デザート、という流れですね。
そして、食事の時間が遅くて長いです。
夕食のスタートが8時以降という家庭も多いですよ。
週末やお客を呼んでのディナーだと、デザートまで終わるのが深夜だったり。
また、お祝い事や友人同士の食事会などは、自宅でもてなすことが多くて主婦はけっこう大変です。
▼ 意外と知られていない、フランスの「普通のごはん」。日本人から見るとちょっとびっくりするフランス庶民の献立をご紹介しています!
7)日本との距離
当たり前ですが、フランスからだと日本が遠い!
距離も遠いですが、航空料金もそれなりにお高いので、ますます日本は遠いですね。
乗り継ぎが必要な地方からの帰省は、もっと遠いです。
緊急で帰国が必要、というときはかなり大変。
フランスに住んでいると、日本の親族や友達になかなか会えません。
日本に帰省しても、用事を済ませるのに忙しくて、会いたい友達全てに会うのは難しいんですよね。
特に子供が小さいと、自由に自分だけ遊びに行けませんものね。
ビデオ通話もできますが、8時間という時差があるので、時間を選ばないといけません。
▼ フランス生活で日本人が体験しがちがなことを集めてみました。フランスの「普通」とは??
▼ フランスと日本、いろいろな違いばかりがフォーカスされがちですが、似ているところも実はけっこうあるんです。「似ている点」に焦点を当ててみた記事はこちらからどうぞ!
フランス生活を楽しむコツ
「フランス生活は大変だ」といろいろご紹介しましたが、どうせ住むなら楽しみながら暮らしたいですよね!
フランスで生活を始めた日本人のかたたち、最初は戸惑うことが少なくないようです。
それは事実。
でも、天災も少なく気候も穏やかなフランスは、住み心地のいい国でもあるんです。
ちょっとだけ気持ちをシフトさせると、フランス生活がぐんとラクになるかもしれません。
フランスで暮らし始めて15年以上たった筆者が、自分でやってみた「慣れるコツ」を5つご紹介させてください。
コツ① 環境を受け入れる
「自分は外国人」としっかりと自覚することって、結構大切なんじゃないでしょうか。
フランスでは、私たち日本人はどこからどうみても異邦人ですからね。
日本とこれが違う、あれはダメと比較ばかりしても楽しくないです。
実際に、もう住んじゃってるわけですから、「フランス在住の外国人の自分」を自覚しちゃいましょう。
今ある環境をすっかり受け入れちゃうとラクになれます。
いろいろ簡単には進まない時も、「外国人だもの、多少の困難はしょうがないよ」と思えますよ。
コツ② フランス語に慣れる努力をする
(自分は全然できていないので、恥ずかしいですが)
フランスに住んだら、フランス語でコミュニケーションを図るのは、やはり当たり前かと思います。
「フランス人って、英語ヘタなんだよねー。外国語できない人多すぎ!」と文句を言っていても仕方ないし。フランスなんだから。
日本からフランスに移住した方たちは、みなさんすでにフランス語を学習済みか、こちら(フランス)でフランス語の学校に通われたりしていると思います。
でも、なかなか思うように上達しなくてガッカリという場合もあるかもしれません(私がそうです)。
継続して学習していくしかないのかもしれないですよね。
ただ、完璧なフランス語なんて、大人になってから学んだ人が話すのはとっても難しいのは事実。
そこは開き直って、「外国風フランス語」で通す度胸も必要かと思います。
コツ③ アバウトさを受け入れる
「待ち人来らず」
「荷物届かず」
「ストで電車ストップ」
フランスあるあるです。
フランスでラクに生きるコツの一つは「アバウトさを受け入れる」ことかもしれません。
「何で来ないの!」
「何で届かないの!」
と、イライラしがちなフランス生活。
でも、「またか…。まあ、こんなもんだよな」と流すことができれば、ラクになれます。
もちろん、状況によっては寛大になれないことだって多いですが…。
フランスでイライラしないためには:
待つのは当たり前
できることは自分でやってしまう(日曜大工とか)
他人に期待しすぎない
これらを頭の片隅に置いておくだけでも、だんだんフランス生活のリズムに慣れていけるのではないでしょうか。
コツ④ 社会のゆるさを満喫する
全体的にアバウトなラテン社会のフランス。
杓子定規にやろうとすると空回りして疲れるだけです。
その社会の「ゆるさ」を満喫しちゃえばいいんですよ。
時間にルーズ、約束にルーズ、きまりにルーズ。
逆に言えば、多少の失敗は「お互い様だから」と許されることが多いんですね。
それぞれの個性を認め合う社会と言えるかもしれません。
こう考えると、フランスって外国人でも暮らしやすい国ですよね。
コツ⑤ 自分の世界を持つ
フランスに暮らしていて、最大の心地よさは
「他人の目を気にしないでいい」
という点。
真冬にTシャツ1枚でいようが、真夏に超露出高めの服でいようが、誰も気にしていません。
人は人、自分は自分です。
そんなフランスで楽しく暮らすコツ5つめは、
「自分の世界を持つ」
ことかな、と思います。
言葉の壁や文化の違いで、寂しい思いをすることも確かに多いです。
そんなとき、「自分の世界」をしっかり持っていれば、心が揺れることも少ないのではないでしょうか。
例えば、私はこうして文章を書くことが大好きです。上手じゃないけれど、思いを綴ることが本当に好き。
本を読むことも、絵を描くことも好きです。
だから、本と紙とペンさえあれば世界中どこに行ってもオッケーだったりします。
在仏日本人のみなさんも、何かしら「私の世界」を持って毎日を暮らしているように見受けますよ。
まとめ:
「フランス生活、楽しそう!」とよく言われます。
もちろん楽しいこともたくさんあります。
見どころいっぱいの美しい街や村、世界に誇るハイクオリティな食品やワイン。
でも、生活者として暮らしてみると「大変だ、この国は…」と感じる人は少なくありません。
それでも、住めば都で、フランス生活にはここでしかあじわえない良さがあるのも事実。
フランスで気楽に暮らすコツをつかんで、もっと楽しんでみませんか!