こんにちは、まのん(@ManonYoshino)です。
イギリスといえば「食事がおいしくない」という、不名誉な定説をちょっとだけくつがえすため、「いや実はおいしいよ」体験をつづっています。
前回「【マズくて有名イギリスごはん】実はおいしいものがたくさんあります」では、こってりハイカロリー系のおいしいものが続いたので、今回はもっと素朴な食べ物の中からおいしいものを探りたいと思います。
目次
いたって質素な家庭の食事
一般に、イギリスの家庭の食事は質素だと言われます。判で押したように、同じようなものが繰り返し繰り返し出てくる家庭もあります。
地味食のイギリスだけなのか?
ヨーロッパ各国の中で、イギリスだけが質素なのでしょうか。いろいろ見ていくと、民族的なものが絡んでいるように思えてきます。
ラテン系諸国は、美味しいもの好き
ヨーロッパの中でもラテンの国々では、「おいしいものが多いところ」というイメージがありますよね。
イタリアは、あまりにも有名。おいしいものを食べにイタリアに行くよ、という旅行者も多いのではないでしょうか。
スペインも、ワインもおいしいし、イベリコ豚に代表される畜産製品もとてもおいしいいです。
フランスにいたっては、いまさら言う必要もないくらいに、美食では有名どころ。チーズ、ワインをはじめ、ペリゴールのフォアグラ、ブレスの鶏、などなどグルメフードのアイコン的な食べ物もたくさんあります。
ゲルマン、アングロサクソンは質素かも
その一方で、北方の国々、イギリス、北欧諸国、ドイツなどは、どちらかというと地味なイメージ。
一般家庭の食事も、一般に地味。
オランダ人の知人が「一般的なオランダの夕食はパンとスープとサラダだね」と言っておりました。ドイツもそのようで、あまり普段の夕食に力を入れていないと聞いたことがあります。
イギリスも、もちろんその傾向じゃないでしょうか。
筆者が一般家庭にホームステイしたのは、もうずいぶん昔ですが、なんとなくその頃とあまり変わっていないように思います。
イギリス家庭の食事ってどんな感じ?
留学生がイギリスのホームステイで直面する問題の一つが、食事、です。とても質素な家庭が多いので、毎日がつらくてしかたないという学生も多いのです。
「味がないから、食卓に夕食の皿が出されると、まず一番に全体に塩を振る」と言っていたスペイン人男子がいました。気持ち、わかります。
筆者のステイ先は引退したパブ経営者のご夫婦で、きちんとした食事をつくってくれる週末のディナーはそれはそれはおいしかったです。お肉のロースト(鶏やラムが多かった)に、スチームした野菜数種類、グレイビーソース、ヨークシャープディング。週末のディナーには手作りのデザートも必ずつきました。
曜日で決まっているイギリスの晩ごはん
平日は、曜日ごとにメニューが決めてあるらしく、毎週同じもの。シンプルですが美味しかったですよ。必ず、簡単なデザートも付きます。
月曜、ソーセージを使った料理(ソーセージとマッシュポテト&グリーンピースにグレイビーをかけたものなど)
火曜、スパゲティ(ボロネーズ、もしくはカルボナーラ)
水曜、ごはんもの(英国風カレーとか、ピラフ)&サラダ
木曜、ミートパイなど
金曜、魚料理(クリスチャンは金曜日は魚なんです)
安価でステイさせてもらっている学生としては、かなりよい内容でした。
「毎週、曜日ごとにメニューが決まっている」というイギリスの夕食の様子は、1989年の映画『旅する女 シャーリー・バレンタイン』にも描かれているのですが、頑固なまでに合理的です。
イギリス・グルメ文化の開花?
とはいえ、イギリスでも2000年くらいを境に食事が美味しいなあと感じるレストランやパブが増えてきたように思います。
イギリスでもグルメ志向?
ほぼ毎年イギリスを訪問するようになって長い年月が経ちましたが、その間、あきれるほど変わらない部分もありつつ、「変わったなあ」と感じるものがあります。
旅行者として感じるイギリスの変化について「英語と旅行 イギリスの新しい姿と変わらない姿」という記事の中でいくつかふれました。
そのほかに、変わった!と言えるものが、「グルメ志向」ではないでしょうか。
はっきり言って、筆者がちょこっと暮らした80年代末のイギリスでは、食事に対して「お腹がふくれりゃそれで十分」的な傾向があったと思うんです。
「いや、そんなことははい、イギリスは昔からおいしい食事を大切にしてきたんだ!」というご意見もあるかもしれませんが、少なくとも筆者個人は、「食えりゃいい」傾向を見てきました。
サンドイッチに見る食革命
かつてのイギリスの食事がわびしかったという一例として、たとえばサンドイッチ。
一覧表にしちゃいました!
20世紀のイギリスのサンドイッチ
名称 | 中身の詳細 | 味の評価 |
キューカンバーサンドイッチ | 食パンにマーガリンをぬって、輪切りにしたきゅうりを挟んだだけ | きゅうり味。 塩気は、ほぼ皆無。 |
トマトサンドイッチ | 食パンにマーガリンをぬって、輪切りにしたトマトを挟んだだけ | 熟していない(味気ない)トマト味。 塩気は、ほぼ皆無。 |
エッグサンドイッチ | 食パンにマーガリンをぬって、殻を取り、輪切りもしくはみじん切りにしたゆでたまごを挟んだだけ | たまごそのものの味。 塩気は、ほぼ皆無。マヨネーズなど使っていない。 |
エッグサラダサンドイッチ | 食パンにマーガリンをぬって、殻を取り、輪切りもしくはみじん切りにしたゆでたまごと、サラダ菜1〜2枚を挟んだだけ | たまごそのものの味に、サラダ菜の「葉っぱの味」。 塩気は、ほぼ皆無。マヨネーズなどは使用せず。 |
想像しただけで、「おいしくなさそう」でしょ。味も、いかにもなさそうでしょ。その通り、味がなくてびちゃびちゃして、おいしくないんです。
イギリスのサンドイッチをマズく感じた理由
それは、普段わたしたちが食べている日本のサンドイッチが美味しいから、ですよね。
我々日本人。小学校の家庭科で、サンドイッチ、習いました。
「食パンにからしバターをぬり、卵はみじん切りにしてマヨネーズで和えましょう。塩味が足りないようなら塩を少し足します。卵を挟んだら、まな板などで押しをしてサンドイッチを落ち着かせ、その後、パンの耳を切り取ります」とね。
どうです、こっちはおいしそうじゃないですか?
イギリスのサンドイッチ、最近の大変化
ところがですよ。最近は、こじゃれたオープンサンドを出すカフェも多いし、スーパーのサンドイッチでさえいろいろ味に工夫がされていて、結構いけます。
名称 | 中身の詳細 | 味の評価 |
英国風朝食のサンドイッチ | かの有名なイングリッシュブレックファーストをサンドイッチにしちゃいました的なもの。 カリカリベーコンと卵とマヨネーズをシリアル入り全粒粉パンではさんだもの | 素直に、おいしい。 塩味も足りているし、マヨネーズがほどよい感じで、イケる。 |
BLT | おなじみ、ビーエルティー。ベーコン、レタス、トマトのサンドイッチ。ベーコンがカリカリでおいしい。 | ベーコンの塩味、レタスのシャキシャキ感、英国トマトのほどよい酸味がマッチ。 |
コロネーションチキンサンドイッチ | 鶏肉を蒸したり茹でたりして調理したものに、カレー粉とマヨネーズ、レーズンなどを和えた「コロネーションチキン」のサンドイッチ | (個人的には)イギリスで食べたサンドイッチの中で、イチ押し! |
エッグアンドクレスサンドイッチ | ゆで卵をみじん切りにし、マヨネーズで和えて、そこにクレソンの葉の柔らかい部分を混ぜて食パンではさんだもの | クレソンが爽やかで、たまごもマヨネーズの力でしっとり。塩味ほどよし。 |
どうです、最近のイギリスのサンドイッチ。食べてみたくなりませんか??
レストラン食も進化
街のレストランもバラエティに富んだ食事ができます。
サラダといえば「くたびれたサラダ菜と、大味なきゅうりの輪切り、硬いトマト何切れか」がドーンと出された時代は終わり、ミックスリーフにバルサミコドレッシングでマリネされたミニトマトが和えられ、パプリカやキュウリがみじん切りでパラパラと乗ってくるようになりました。
ガストロパブと呼ばれる「おいしい食事が売り物のパブ」が各地にできて、高水準のおいしい食事が簡単に取れるのはとてもうれしいことです。
簡単に紹介しきれないくらい、メニューも豊富ですよ。
まとめ
イギリスの話になると、万国共通の話題が「イギリスは食事がマズい」なんですよね。
確かに、80年代に初めてイギリスを訪れた時は「何を食べても平均的においしくない」イギリスの食事にびっくりしました(笑)。
でも、その後、イギリス人家庭にホームステイして毎日おいしい食事をいただいて「あれ?おいしいじゃん?」と思ったんですね。ホームステイ先では、洒落たものは何ひとつ出ないけれど、気取らないおいしい食事でした。
30年以上の間、イギリス大好き人間の筆者は、かの地に足を運び続けています。その中で、一番の変化はやはり「食」だと思うのです。おいしいものが本当に多くなったなあと、思います。
「イギリスは食事がマズいから、行くのをやめとこう」なんて思われる方がいたら、ぜひ声を大にして言いたい。
イギリスの食事、おいしいものたくさんありますよ〜!
イギリスと言えばローストビーフ、というくらいローストビーフは有名ですよね。でも、これもいろいろな評価があって、面白いのです。
イギリス旅のついでのローストビーフ体験は【英語と旅行】イギリスのローストビーフは本当においしいの?でご紹介しています。